米中対立再燃でドル円は105円台前半まで急降下=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場でドル円は105円台前半まで急降下している。きょうはジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演が行われた。議長は「経済は望ましい状況だが、著しいリスクが迫っている」と述べたうえで「景気拡大維持へ適切に行動する」と語った。追加利下げを示唆した発言にも思われ、為替市場はドル売りで反応。

 ただ、講演内容が伝わった直後は、ドル売りと同時に米株が上げの反応を見せ、株高・円安の動きにドル円は相殺されていたが、次第にドル円は売りを加速させている。

 きょうは中国が米製品750億ドル相当に報復関税を発動すると発表していた。5078品目の米製品が対象で、9月1日と12月15日に実施するという。これに対して今度はトランプ大統領が「きょうの午後に中国の関税措置に対応する」と発表したことから、市場は再び米中対立への緊張を一気に高めており、米株も下げ幅を拡大する中、リスク回避の円買いがドル円を押し下げている。

 ドル円は見切り売りが強まり105.30円近辺まで下げを加速させている。今月の前半は105円を割り込まずに反転させていたが、きょうの下げで21日線に跳ね返された格好となっており今回は105円割れも警戒される展開となっている。

 ユーロドルは買い戻しが強まり1.1150ドル近辺まで一時上昇。21日線が1.1135ドル付近に来ているが、その水準に顔合せしており、来週以降の動きが注目される。ユーロ買いというよりもむしろドル売りに伴う上昇で、きょうはパウエルFRB議長の講演や米中対立の再燃でドルが売られており、ユーロドルを押し上げている。

 ただ、ユーロ自体も難問を抱えており、積極的に上値を試す雰囲気ではない。ドイツをはじめとした域内の経済が減速傾向を鮮明にしており、ECBが期待以上の思い切った追加緩和策を打ち出してくるのではとの予想もある一方、英国が合意なき離脱に陥った場合、英国のみならず、ユーロ圏経済への影響も不可避な状況ではある。

 目先は1.12ドル台前半に来ている100日線まで戻せるかどうか注目される。100日線は今月前半に強い上値抵抗となっていただけに簡単ではなさそうだ。

 ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.2280ドル付近まで上昇している。ただ、合意なき離脱への懸念が依然として根強い。きのうはドイツのメルケル首相が「離脱期限の10月31日までにバックストップの解決策を見出せる」と述べたことをきっかけにポンドは買い戻しを強めていた。しかし、EUは再交渉のテーブルには着くかもしれないが、バックストップ条項削除の実現は難しいとの声も多い。そのような中、先ほどジョンソン首相の発言が伝わり、「EUにスタンスを変更するよう説得するのは容易ではなく、時間がかかると」述べたことで、ポンドドルは上値を重くしていた。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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