今月30日、31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれる米国。 もっとも今月に入って雇用統計、消費者物価指数、小売売上高と重要指標は軒並みの好結果を示しています。 パウエルFRB議長による物価鈍化懸念などもあり、 市場では利下げはもちろんのこと、一気に0.5%の引き下げを行う 大幅利下げへの期待感が広がっていますが、 指標結果的にはこれで一気に0.5%の引き下げを行うのは違和感があるといわざるを得ないような状況となっています。 パウエルFRB議長は雇用統計発表後に実施された半期議会証言の中で、 単月での指標結果でバランスを変化させるものではないと 雇用統計の好結果の影響を否定することを意識させる発言をしています。 こうした発言を背景に、金利先物市場では0.50%の利下げを意識する動きが続き 一応0.25%の利下げが大勢とは言え、割合的には4割程度0.50%の利下げを見込むまで 大規模利下げへの期待感が広がっています。 こうした中、来週26日に発表される米第2四半期GDP速報値が 経済指標結果としても大規模利下げを後押ししてきそうな状況となっています。 第1四半期GDPは確報値ベースで前期比年率+3.1%と かなりの高水準な伸びを記録しました。 もっともこの数字は在庫の積み上げ(在庫投資の拡大)と 貿易摩擦を懸念して先倒しで拡大に動いた輸出の積み上げ、 政府支出の拡大などがかなりのウェイトを占めています。 在庫、純輸出(輸出-輸入)、政府支出を除いたGDPの伸びは +1.3%にとどまっており、これは13年第2四半期以来の低い伸びでした。 在庫の積み上げに関しては、景気拡大期にも後退期にそれぞれの理由で起きますが 第1四半期に関しては内需の弱さが積み上げにつながった可能性が高そう。 米GDPの約7割を占める個人消費の伸びは+0.9%と約1年ぶりの低い伸びに。 設備投資自体は知的財産への投資が寄与して伸びていますが 機器の設備投資は-1.0%と2016年第1四半期以来の大幅な低下を示しました。 こうした状況から第1四半期は全体には高めの数字も 内訳は弱く、この状況が第2四半期も続くと厳しい数字が予想される状況。 特に第1四半期の反動が見込まれる在庫の結果次第では 予想を超えるような弱い数字が出る可能性もあります。 現状での予想は前期比年率+1.7%。 昨年のGDP成長率2.86%を考えると、かなり厳しい数字が見込まれています。 アトランタ連銀の発表しているGDP見通し(GDPNow)は+1.6%、 NY連銀の見通し(Nowcasting)は+1.5%と ともに市場見通しより少し厳しくみています。 こうした状況は利下げへの大きな圧力となりそうです。 以前からトランプ大統領は持続可能な+3.0%の経済成長を目標として掲げていることもあり 大統領からFRBへの圧力も強まりそう。 議長発言などから0.5%に一気に引き下げてもおかしくないところに 子のGDPの数字が出ると、 FOMCを目前に一気に期待感が広がり、50%を超えて大勢となる可能性もありそうです。 minkabu PRESS編集部 山岡和雅
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。