【これからの見通し】G20イベント通過、米中貿易戦争休戦、リスク選好ムード続くのか 週末の大阪G20会合を通過した週明けの市場は、株高・円安のリスク選好ムードで取引を開始した。ドル円は108円台にしっかりと乗せている。ただ、クロス円は買い先行となったものの、ユーロドルなど各主要通貨でドル買いが優勢になったことから上げを失っている。このあとの欧州や米国市場で株高からリスク選好の円売りの図式が再開されるのかどうかを見極めたいところだ。 米国と中国の貿易戦争はG20を経て休戦状態となった。トランプ大統領は中国への大規模な農産物輸出を取り付ける一方で、ファーウェイに対する米国製品禁輸措置を緩和すると表明。追加関税についても保留とされている。 ここで問題になるのが、米FOMCの7月会合の行方。市場では事前にほぼ100%の確率で利下げを見込んでいる。一部には0.5%の大幅利下げの期待もある。ただ、米経済は他の先進諸国より高い成長率を誇っており、利下げには大義名分が必要となる。その有力な裏付けとして、米中貿易戦争による不透明感に対して「予防的利下げ」を行なうといった理屈が使えそうだった。しかし、米中貿易戦争が休戦となり、市場がリスク選好ムードに沸くとしたらどうなるのか。 市場はこれを先読みして米債利回り上昇とともにドル高方向に進む可能性もある。この場合、ドル円は上昇よりもユーロドルや豪ドル/ドルなどの下げがきつくなれば、クロス円では円高が進行するリスクもある。米FOMCで利下げが躊躇されるとの見方につながれば、株式市場はネガティブに受け止めそうだ。きょうはそのあたりの市場のムードを読み取る重要な一日となりそうだ。 ただ、米経済状況の重要なヒントとなる米雇用統計発表を今週金曜日に控えた週でもあり、なかなか一方向への流れが出にくい面もある。かなり、神経質な相場展開が続きそうだ。 このあとの欧州・ロンドン市場では、スイス小売売上高(5月)、スイスSVME購買担当者景況指数(6月)、ドイツ雇用統計(5月)、ドイツおよびユーロ圏の製造業PMI・確報値(6月)、ユーロ圏失業率(5月)、英製造業PMI(6月)などが発表される予定。NY市場では、米ISM製造業景気指数(6月)と米建設支出(5月)が発表される予定。この時間帯には金融当局者の講演・イベントなどの予定はない。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
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