NY時間の終盤に入ってドル円は110円台前半で推移している。きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となっている。きょうの市場はトルコへの懸念を一服させており、今週の米中通商協議への期待感もある中、先週までのリスク回避のドル高の巻き戻しが出ているようだ。 そのような中、トランプ大統領の発言がドル売りを加速させた。ブルームバーグが関係者の話として、トランプ大統領がパウエルFRB議長の利上げ姿勢に不満をもらしていると伝えた。ハンプトンで開かれた資金集めパーティーで、パウエル議長が低金利政策をとっていないと嘆いていたという。数週間前にも同様のニュースが流れており驚きはないが、ドル売り優勢の流れの中、その背中を押したようだ。なお、米大統領はFRB議長は指名はできるが、閣僚のように解任はできない。 ドル円は110円台前半まで下落。維持していた110.50円水準を割り込んだことで、短期筋の見切り売りも出ている模様。本日の100日線は110円ちょうど付近、200日線が109.90円付近に来ている。110円付近にかけては買いオーダーも並んでいるようだが、試しに行くか注目される。 一方、ユーロドルは買戻しが優勢となり、1.1470ドル近辺まで上昇。ロンドン時間には売りが先行し1.14ドルを割り込む場面も見られた。ただ、1.13ドルに入ると買いも入り強固にサポートされたことからショートカバーが強まっている模様。 きょうもトルコリラは下落。トルコ中銀は政策金利であるレポ金利での資金供給を停止しており、市中銀行は政策金利よりも高い金利で翌日物の資金を調達している。エルドアン大統領が利上げに反対の姿勢を示していることもあり、中銀も利上げを正式には認めてはいないものの、ステルス利上げは実施している模様。ただ、トルコのドル資金不足などが言われる中、不安感は依然として根強い。 ただ、きょうのユーロ相場の反応は限定的。明日からトルコ市場は大型連休に入ることもあり、市場の関心は専ら米中通商協議の行方にシフトしており、ポジション調整が優勢となっているようだ。 先週末に米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、ユーロは2017年5月以来の売り越しに転じている。過去の経験則から一旦買い越し、売り越しどちらかに転じるとその方向に流れて行くことが多く見受けられる。 ポンドも対ドルで上昇。ポンドドルは1.27ドル台後半まで上昇している。しかし、ポンドに関しては合意なきEU離脱のリスクをまだ十分に織り込んでおらず、下値模索が続くとの見方も少なくない。1.25ドル割れの可能性も指摘されている。 きょうは欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)の発言が伝わっていたが、英国との合意が必ずしも必要なわけではない。しかし、英国のEU離脱決定は理論上は撤回が可能との見解を示していた。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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