米国の原油生産量、今後は減少傾向に向かう!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。52.54ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1508.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年1月限は11575元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)下落。9月限は413.5元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで647.3ドル(前日比1.4ドル縮小)、円建てで2156円(前日比15円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月8日17時50分頃 先限)
 5090円/g 白金 2934円/g 原油 35450円/kl
ゴム 169.6円/kg とうもろこし 23610円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国の原油生産量、今後は減少傾向に向かう!?」

今回は「米国の原油生産量、今後は減少傾向に向かう!?」として、米エネルギー省(EIA)が毎月公表する短期見通し(STEO)内の原油生産量の見通しと実績値の差に注目します。

以下のグラフは、EIAが昨日公表した8月分、および、今年の2月分と5月分のSTEOそれぞれから抜粋した米国の原油生産量の見通しおよび実績値の推移です。

2月公表分では1月のデータが、5月公表分では1月から4月までが、8月公表分は1月から7月までが実績値です。

2019年7月のデータについて、2月公表分、5月公表分、いずれの見通しも、日量1230万バレルを超えるとしていました。

しかし、8月公表分の実績値は日量1172万バレルとなり、上記2つの見通しを60万バレル程度下方修正したものになりました。

生産量実績値が数カ月前の見通しよりも少ない、ということは何か想定と異なる事象が起きたことを示唆しています。

想定と異なる事象とは何でしょうか? それは原油価格だと筆者は考えています。

見通しが公表された2月は原油価格は55ドル近辺で、上昇傾向にありました。

5月は60ドルを超えて高止まりした状態にありました。

原油価格が今後も上昇すること、あるいは高止まりすることが予想される場面では、生産者の間で“生産を拡大して収益を拡大させよう”と、生産拡大への温度感が高まっているとみられます。

このようなタイミングでは生産見通しも強気になりやすいと考えられます。

逆に8月のように原油相場が下落基調にある場合は、生産見通しが引き下げられやすいと考えられます。

米国の場合、OPECプラスのように国や国の集団の政策によって生産量が人為的に増減しているのではなく、原油相場の動向によって生産見通しや生産量そのものが変動していると考えられます。

図:米国の原油生産量の見通しと実績値 単位:百万バレル/日量
米国の原油生産量の見通しと実績値

出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。