週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.09ドル安の64.09ル、ブレント原油は1.29ドル安の68.33ドルとなった。

 先週は前週末までの地政学リスクを背景とした上昇基調から一転して、リスクプレミアムが後退する中で調整色の強い展開となった。週初には、米国とイランの間で核協議開催の報道が伝わったことで、軍事的緊張が緩和されるとの期待が強まり一時下落した。トランプ大統領がイラン側と「真剣に協議している」と述べたことで供給途絶への懸念が和らぎ、ブレントやWTIの価格はいずれも5%前後の下落を記録する場面があった。週中には協議が見送られる可能性も浮上したが、イラン外相が6日に核開発をめぐる協議をオマーンにて行うと発表したことで戻りは売られる格好となった。その後も市場では米国とイランの協議が実行されるとの見通しが強まったことで地政学リスクの剥落が意識された。OPEC+が生産レベルを維持する中で供給過剰リスクが依然として根強く、需給ファンダメンタルズの重さが価格を下押ししたとされる。ただし、交渉の内容や進展には依然として不透明感が残り、米国とイラン側の意見の隔たりも報じられているため、市場心理は引き続き揺れやすい状況にある。さらに、インドの大手企業がベネズエラ産原油の購入を進める動きなども観測され、需給フローの変化が一部で注目された。

 週間を通して地政学リスクの後退を受けた調整が中心となり、週間ベースではやや軟調な値動きとなったものの、供給や外交の不確実性は引き続き相場の変動要因として残る展開となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は地政学リスクの行方と需給指標を見極めながら、方向感を探る展開になるとみられる。足元では米国とイランの協議報道を背景に中東リスクが後退し相場は調整局面にあるが、地政学リスクが完全に払拭されたわけではなく、下値では買いも入りやすい地合いである。弱気材料としては、OPEC+が現行の生産方針を維持する中、2026年にかけての供給過剰懸念が依然として市場心理の重石となっている点が挙げられる。加えて、米国の原油・製品在庫統計で在庫積み増しが確認された場合、需給緩和観測から価格の上値を抑える要因となろう。また、米国の金融政策や景気指標を巡る不透明感も、原油需要見通しに対する慎重姿勢を強める可能性がある。

 一方、下支え要因としては、まずウクライナ情勢や中東を巡る突発的な地政学リスクの再燃が挙げられ、外交交渉に関するニュース次第では、リスクプレミアムが再び意識されると思われる、その他、製品在庫の減少が続けば、実需の底堅さが評価される可能性があるため、注意が必要である。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。