週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.39ドル高の79.40ドル、ブレント原油は4.70ドル高の83.03ドルとなった。

 前週末の海外原油は、天然ガス価格の上昇により原油への需要シフトが見込まれるとの思惑から買われると、米株高・ドル安進行したことも支えとなり上昇した。一方でOPECプラス会合を控える中でポジション調整の動きから上値では売りも出やすくなった模様だ。

 先週はOPECプラスが現行の計画通り日量40万Bの増産を決定し、追加増産など計画の修正行わなかったことから需給ひっ迫感が強まり堅調な推移となった。週明けはIEAが天然ガスや石油需要がコロナ感染拡大前の水準を上回りつつあると報告するなど需要が回復に向かう中だったが、OPECプラスが追加増産を見送り、計画通り日量40万Bの増産に留まったことから需給の引き締まりが意識され大幅上昇する展開となった。翌5日もOPECプラスの追加増産見送りが支えとなり堅調に推移すると、米ISM非製造業景況指数など好調な経済指標を受けて株高推移したことも好感され上値を伸ばす展開となった。翌6日は利食い売り優勢となり戻りを売られると、EIA統計において原油在庫が予想外に増加するなど2週連続で積み増しとなったことが嫌気され反落した。また、米エネルギー省長官が戦略石油備蓄(SPR)の放出や米国産原油の輸出停止を検討していると述べたことも重しとなった。週末にかけては天然ガス価格の上昇一服などから売りが先行したものの、米国がSPRの放出を行う公算は小さいとの見方が強まったことや、株高進行したことに支えられ切り返すと、プラスサイドまで反発する動きとなった。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。