[Vol.1151] 上昇圧力と下落圧力を足し引きしなければならない

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。77.92ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,795.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,545元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は501.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで829.9ドル(前日比6.7ドル拡大)、円建てで3,088円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月6日 18時16分頃 6番限)
6,665円/g 白金 3,577円/g
ゴム 237.5円/kg とうもろこし 39,970円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「上昇圧力と下落圧力を足し引きしなければならない」

前回は、「ドル高・株高・金高で、「3高(サンダカ)」」として、株とドルと金(ゴールド)が、3つ同時に上昇する現象が起きていることについて、書きました。

今回は、「上昇圧力と下落圧力を足し引きしなければならない」として、足元の金(ゴールド)市場にある、上昇要因と下落要因を俯瞰します。

前回述べたとおり、ドル高でも株高でも、金(ゴールド)高が起きるのは、ドル高と株高起因の下落圧力と、それを相殺して余りある上昇圧力が、同時に存在しているためだと考えられます(下落圧力は消えていない)。

現在、たくさんの不安材料が融合し、膨張して、「有事のムード」が形成されています。世の中に「有事のムード」が漂うことで、資金を逃避させる需要が生まれ、有力な逃避先と目される金(ゴールド)が物色されていると、考えられます。

「有事のムード」起因の上昇圧力が、ドル高・株高だったとしても、金価格を上昇させているわけです。上昇圧力と下落圧力の影響度を、足し引きする必要があるわけです。

図:金(ゴールド)市場を取り巻く環境

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。