[Vol.2212] カオスの真因にSNS・AI、ポピュリズム

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。101.50ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,706.84ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年09月限は17,765元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年06月限は620.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2563.64ドル(前日比54.24ドル拡大)、円建てで13,982円(前日比21円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月14日 17時02分時点 6番限)
24,670円/g
白金 10,688円/g
ゴム 418.2円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金(ゴールド)先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金(ゴールド)先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「カオスの真因にSNS・AI、ポピュリズム」
前回は、「なぜ株高・金(ゴールド)高なのか?」と題して、S&P500、金(ゴールド)の価格推移について、述べました。

今回は、「カオスの真因にSNS・AI、ポピュリズム」と題して、2010年ごろ以降の株高・金(ゴールド)高の一因について、述べます。

中央銀行が金(ゴールド)を購入する一因に、世界的な不安感の高まりが挙げられます。2010年に買い越しが始まったことから、2010年ごろに、世界的な大きな不安感を強める事象がはじまったと、推測できます。

筆者はこの世界的な不安感を「非伝統的な有事」と表現し、それが強まった経緯に、以下の図のとおり、あの「2010年」から世界的に急速に普及したSNSやAI、ドローンなどのハイテク技術のマイナス面(2010年は日本でiPhone4が発売された年)、そしてポピュリズム(人気取り)が強く関わっていると考えています。

軍事や一般(個人・国)の分野で、ハイテクのマイナス面は、情報戦におけるかく乱、浸透、分断などの工作を横行させたり、戦争を長引かせたり、情報の受け手と発信者の関係を「思惑優先」にしたり、ポピュリズムと相成ってバラマキを横行させたりしています。

その結果、世界の民主主義が後退したり、分断が深化したり、資源の武器利用が横行したり、長期のインフレが継続したり、通貨の不確実性が増したり、株高への不安が拡大したりしていると考えられます。

これらのほとんどが、2010年ごろ以降に目立ち始めたため、筆者はこれらをまとめて「非伝統的な有事」と呼んでいます(いずれも目に見えにくいという特性があるため、「見えない有事・不安」とも言えます)。この非伝統的な有事は、金(ゴールド)相場の2010年ごろに始まった長期上昇トレンドの「土台」です。

中央銀行も土台ですが、非伝統的な有事は中央銀行の金(ゴールド)買いの動機の一因とみられるため、同有事は「土台の土台」とも言えます。

SNS・AIの普及により、2010年ごろを機に大きく変化した情報の受け手と発信者の関係について考えます。SNSとAIは、情報の受け手が見たい情報を際限なく見ることを可能にしました。このことは、見たくない情報を見ない、という姿勢を強めるきっかけになりました。

情報の受け手の姿勢の変化に順応するように、情報の発信者は「受け手が見たい情報を見せる」という姿勢を強めました。こうした双方の変化により、世の中の少なくない情報が過程、本質を軽視するもの、人気取りを目的としたものとなり、乱立するはずのない真実が乱立する事態になりました。

もうすでに、世界は実態よりも「思惑」を優先する環境になっていると言えます。このことは、2010年ごろから、株価指数が急騰したり、世界同時株高が起きたりしている土台になっていると言えます。プラスの思惑である「期待」は、SNSやAIによって、実態がなくても際限なく膨張し得るためです。

図:2010年ごろ以降の株高・金(ゴールド)高の一因
図:2010年ごろ以降の株高・金(ゴールド)高の一因
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。