[Vol.1183] 昨年末の金価格予想が現実味を帯びる

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。ウクライナ情勢の悪化などで。98.06ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ウクライナ情勢の悪化などで。1,949.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年04月限は620.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで831.6ドル(前日比12.9ドル拡大)、円建てで3,116円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月24日 18時04分頃 6番限)
7,160円/g 白金 4,044円/g
ゴム 261.0円/kg とうもろこし 44,250円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「昨年末の金価格予想が現実味を帯びる」

前回は、「NY金1,900ドル到達の背景をおさらい」として、足元、NY金の価格が上昇している背景について書きました。

今回は、「昨年末の金価格予想が現実味を帯びる」として、以前に書いた2022年の金価格の予想を確認します。

昨年末、筆者は「[Vol.1142] 2022年の金(ゴールド)の予想レンジ」で、2022年の金(ゴールド)相場の予想をしました。年間高値は2,024ドル、年間安値は1,646ドルでした。今のところ、予想した年間高値に近づきつつあると言えます。

予想の根拠は次のとおりです。2020年を「新型コロナ」と「脱炭素」の元年と考え、2021年が2年目、2022年を3年目とし、大局的に見て2022年(3年目)は2021年(2年目)と同様のことが起きる(価格は年平均ベースで上昇する)と仮定しました。

また、2022年(3年目)の上昇率は、米国の金融政策が引き締め方向に向かうことを考慮して2021年(2年目)の半分とし、変動率は、予想外の事態が発生することを考慮し、2021年(2年目)の1.3倍を想定しました。

現在のような、ウクライナ情勢とインフレ起因の「目立つリスク」が存在し、かつ暗号資産と株価動向が安定しないタイミングでは、予想レンジの上限に近づきやすくなります。

短期的には、今と条件が変わらなければ、国内外の金(ゴールド)価格はさらに高みを目指す可能性があると考えます。

図:NY金先物価格(2022年は筆者予想) ※点線は年平均 単位:ドル/トロイオンス


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。