週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.28ドル高の78.18ドル、ブレント原油は0.55ドル高の81.53ドルとなった。

 前週末の海外原油は各国中銀の利上げによる景気悪化懸念が重しとなると、リスクオフムードが強まる中で原油も軟調な推移となった。

 先週は米政府がSPRの補充を開始する見通しであると伝わったことが支えとなったほか、米原油在庫が大幅減少していたことが支えとなり堅調な推移となった。週明けは中国でゼロコロナ政策が緩和したことから石油需要の回復期待が高まったほか、23年には景気支援を強化する方針が示されたことも好感され反発した。翌20日は米国がSPRの補充のため、最大300万Bの原油調達計画があると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。また、アジア時間で日銀が現在の大規模な緩和政策の転換を開始したことからドル安進行したことも支えとなった。翌21日はEIA統計において原油在庫が大幅減少していたほか、留出油が予想に反して取り崩しとなったことが好感され上昇した。カナダと米国を結ぶキーストーンパイプラインの復旧が足元の寒波の影響で遅れていることが取り崩しの要因となった模様だ。週末にかけては戻りを売られると、好調な米経済指標を受けて利上げへの懸念が高まりドル高進行したことが重しとなったほか、寒波の影響で2000便近い航空機が欠航となると伝わり、燃料需要の減少懸念が強まったことが嫌気された。

 今週の原油相場は海外市場がクリスマス休暇に入るほか、年末を控える中で様子見姿勢が強まりそうか。米欧中銀による利上げへの警戒感からリスクオフムードが高まっており、ドル高・株安進行していることは引き続き重しとなりそうな一方、寒波の影響で暖房需要の増加が見込まれるほか、ロシア産原油への価格上限設定により、同国産原油の輸出が前月比で20%程度減少したと伝わったことは支えとなっている。テクニカル的にはWTIベースで70ドル割れを回避した後に買い戻しが入り、クリスマス休暇明けに80ドルを上抜けられれば一段高となりそうだが、再び戻りを売られれば再度70ドルを試す展開となりそうであり、強弱まちまちな展開となる中で方向感を探る展開が想定されそうだ。

原油チャート

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。