週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.18ドル高の72.53ドル、ブレント原油は2.22ドル高の76.60ドルとなった。

 前週末の海外原油は続落。米国の債務上限問題に対する懸念や、米国債の利回り上昇による株安から原油も売られる格好となった。また、インフレ期待の上昇からドル高に振れたことも重しとなった。

 週明け15日は反発。今月から主要産油国が日量166万Bの自主減産を実施しているほか、米政権がSPRの補充開始を計画していることやカナダの山火事により原油生産が停止していることから需給引き締まりが意識された。16日は小反落。IEAが発表した月報で2023年の世界石油需要見通しが上方修正されたことで買いが先行した。しかし、4月米小売売上高が予想を下回ったことから景気悪化が意識され、株安ドル高も重しとなり反落する展開となった。17日は反発。米債務上限問題について、共和党のマッカッシー下院議長がデフォルトの回避を約束し、週末までに合意を得ることは可能との認識を示したことから安心感が広がった。一方でEIA統計では原油在庫が大幅増加となったことや、前日発表の小売売上高が予想を下回ったことなど、景気悪化への懸念はやや重しとなった模様。18日は反落。堅調な米経済指標を背景にFRBによる利上げ停止観測が後退し、対ユーロでドルが上昇したことが重しとなった。

原油チャート

 今週の原油相場はドル高に上値を抑えられる展開となるか。米債務上限問題について、デフォルトは回避できるとの楽観的な見方から株式、原油に買いが入る展開となったが、米国の堅調な経済指標から再び利上げ継続が意識される格好となっている。ドルインデックスもおよそ2ヵ月ぶりの高値となっていることから、引き続き原油は上値重い推移となりそうだ。OPECプラスの減産による需給引き締まりは支えになると思われるが、目先はWTIで76~70ドルのレンジでの推移となるか。米国ではドライブシーズンを控えていることもあり、ガソリン需要の伸びに期待したいところである。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。