週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.18ドル安の70.85ドル、ブレント原油は1.22ドル安の75.11ドルとなった。

 前週末の海外原油は、米債務上限問題を巡る協議の合意が近いとの思惑が高まったことからリスクオフムードが後退し堅調な推移となった。その後も歳出削減などを条件に2025年1月1日まで債務上限の効力を停止することで暫定合意したと伝わったことで、上げ幅を拡大する展開となった。

 週明け月曜日はメモリアル・デーで休場となる中、米利上げへの警戒感やOPEC事務局長が米国の対イラン制裁が解除されることになれば、同国産原油の市場への完全復帰を歓迎する考えを示したことが重しとなった一方、ガソリン需要の増加期待や米債務上限問題の解決が支えとなり強弱まちまちな推移も、ドル高の動きが強まったことで戻りを売られた。30日は、米債務上限引き上げ問題をめぐり、米政府と共和党幹部の間では基本合意したものの、一部の共和党保守強硬派が法案に反対する可能性があると伝わったことが重しとなり急落。さらに、中国の製造業PMIが予想より弱い内容となったことで下げ幅を拡大した。翌31日もその流れを引き継いだものの、米連邦議会下院での米政府の債務上限停止法案可決が支えとなり、下げ幅を縮小した。1日は、前日の債務上限停止法案の米下院通過を受けてデフォルト懸念が後退し、買いを誘う格好となった。また、6月のFOMCにおいて利上げが見送られるとの思惑が高まり、ドル安進行したことも支えとなった模様だ。

NY原油チャート

 米国の債務上限問題は、上限適用停止法案が31日に下院、1日に上院でそれぞれ可決されたことで、原油マーケットも盛り返す展開となっている。加えて、4日に開催されたOPECプラス会合では原油の協調減産を24年までの延長と、サウジアラビアで日量100万バレルの追加自主減産が決定し、強気な内容か。テクニカル面で見ても、今回・前回・前々回とWTIで70ドルを割れた水準では切り返す動きが続いており、上目線で見ておいた方が良さそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。