小次郎講師:
日経225マイクロ先物は、2023年5月に取引開始以降、一般投資家も参加するなど順調に取引が増えています。一般投資家にも益々人気になるでしょう。これから皆さんにその魅力をお話したいと思います。
陽和ななみ:
先物取引やデリバティブと聞くと、少し構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これから分かりやすく教えていただけるということですね。
小次郎講師:
ポイントは「意外と簡単」「魅力たっぷり」だということです。デリバティブは、取引高がどんどん増えていますので、一緒に勉強していきましょう。
小次郎講師:
まずは日経225の先物取引です。こちらは日経平均株価(日経225)を対象とした株価指数先物取引です。
小次郎講師:
日本の先物取引といえば日経225先物取引と言われるくらい非常に人気があります。日経225先物取引は、ラージ、ミニ、マイクロの3種類があります。ラージからスタートし、次にミニが生まれ、2023年にマイクロが誕生しました。これらの違いは倍率です。ラージは1,000倍、ミニは100倍、マイクロは10倍です(日経平均株価に倍率を乗じたものが取引単位となります)。
我々に一番の影響があるのは証拠金です。証拠金は、決済の履行を担保するためのもので、取引を行う際には予め証券会社に預託する必要があります。この動画を収録している現在では、ラージの証拠金は約140万円強です。ミニはその10分の1、マイクロは100分の1です。
*2023年11月以降は、先物・オプションの取引証拠金の計算方法は「SPAN方式」から「VaR方式」に移行しました。VaR方式は限月、売り買いの別で証拠金額が異なります(ただし、電力・LNGを除くコモディティは別運用)。
陽和ななみ:
なるほど。証拠金は取引単位により異なるのですね。
小次郎講師:
上記の事例の場合では、ミニの証拠金は14万4,000円です。ラージに比べると金額自体は割安かもしれません。マイクロは1万4,000円です。これだったら誰でもはじめられますよね。ただし、この証拠金は変動しますので留意が必要です(現在のVaR方式では、適用される証拠金は日々公表されます)。
小次郎講師:
次にお伝えしたいことですが、先物取引はレバレッジを効かした投資効率の高い取引であることです。マイクロ先物はどのように損益が発生するのか、その計算方法をお話します。一言でお伝えすると「動いた値幅×10倍×枚数」で損益が計算できます。 具体例を挙げてみます。マイクロ先物を1枚買い、その後に1,000円動いたとします。3万円で買っていたものが3万1,000円まで上がった場合と、2万9,000円まで下がった場合、損益を計算してみたいと思います。値幅は1,000円、倍率は10倍、取引量は1枚なので「1000円×10倍×1枚」で計算します。損益はいくらになりますか?
陽和ななみ:
3万1,000円まで上がった場合は1万円の利益、2万9,000円まで下がった場合は1万円の損失となります。
小次郎講師:
正解です。証拠金は1万4,000円でしたので、投資効率が高いものとなります。では、日経225マイクロ先物取引の魅力をまとめますが、魅力はどのようなところにあると思いますか?
陽和ななみ:
証拠金を見てきたように、マイクロ先物はお手軽にはじめられるということですかね。
小次郎講師:
それも魅力の一つですね。他にはいかがでしょうか。
陽和ななみ:
あとは、先物取引なので、現物取引よりも取引時間が長いことでしょうか。
小次郎講師:
先物取引はほぼ24時間取引ができますし、「投資資金は少額からできる」「祝日取引も可能」「買いだけではなく、売りもできる」「リスクヘッジに使える」ということが魅力な点ではないでしょうか。
私がマイクロ先物の本当の魅力だと思っていることは、銘柄選びから解放されることです。多くの株式投資家は、銘柄選びに躍起になっています。株式は何千銘柄もあります。何千銘柄の中から良い銘柄を選ぶということに非常に頭を悩ませ、銘柄選びをしたらそれで終わり。良い銘柄を持っていたら利益が上がると思っていますが、良い銘柄でも良いタイミングで買い、良いタイミングで売らなかったら利益になりません。
この日経225マイクロ先物は、上がるときは買いで利益がとれ、下げるときには売りで利益がとれます。そうすると、銘柄選びは必要ありません。上がると見たら買いで利益をとり、下がると見たら売りで利益をとれば良いわけですね。
ここで、皆さんに一つの例をお話します。ある年の日経平均の値動きです。2万6,000円からスタートし、3万3,000円まで上がり、そのあと3万1,000円まで下がりました。このような値動きがあったとします。2万6,000円のときに買ったとすると、3万1,000円のときに、5,000円幅の利益が出たということになりますね。しかし、上がるときには買いでとる、下がるときには売りでとるという、買いと売りがまったく同条件のマイクロ先物だとどうなるでしょうか。10枚で取引をしてみましょう。証拠金は1枚が1万4,000円だとした場合、10枚取引をすると、証拠金は合計でいくらでしょうか。(便宜上、全限月、売り・買いともに同額とします。)
小次郎講師:
正解です。マイクロ先物を10枚取引したとしても、証拠金はびっくりするほど高額ではありませんね。マイクロ先物を2万6,000円で買ったとします。3万3,000円まで上がって、そこで売りました。上昇した値幅はいくらになりますか?
小次郎講師:
7,000円の利益が出ましたね。とりあえず、それで買いを決済し、これから下がるということで売りの取引をスタートしました。3万3,000円から3万1,000円まで下がりました。この場合の値幅はいくらでしょうか?
小次郎講師:
合計でいくらの値幅(利益)をとりましたでしょうか?
小次郎講師:
損益は「値幅×倍率×枚数」で計算できます。上記の事例では、「9,000円×10倍×10枚」で計算します。利益はいくらになったでしょうか?
小次郎講師:
元金(証拠金)が14万円で、90万円の利益が出ました。日経225マイクロ先物は投資効率の高い取引だとわかっていただけましたでしょうか。
銘柄選びが必要ない。上がるときには買えば良い、下がるときには売れば良い。日経225マイクロ先物は非常に手軽になりましたので、ぜひ勉強していただきたいなと心から思います。
陽和ななみ:
もちろんリスク管理は忘れずに、皆さまもぜひチェックしてみてください。