週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.31ドル高の63.11ドル、ブレント原油は1.11ドル高の65.11ドルとなった。

 前週末の海外原油は31日に予定されていたOPECプラス会合で、当初予想よりも規模の大きい増産が検討される可能性があるとの報が重しとなった。一方で、米株式の上昇は支えとなった模様。

 先週は地政学リスクの高まりが支えとなった一方で、EIA統計での製品在庫の増加が重しとなり方向感に欠ける動きとなった。週明け2日は反発。OPECプラスの増産が予想通りとなったことで供給過剰への警戒感が後退したほか、カナダで山火事が発生したことにより供給混乱が意識されたことも相場を押し上げる要因となった。3日は続伸。ウクライナがロシア各地にドローン攻撃を行い、地政学リスクが高まったことが支援要因となった。また、米国とイランの核協議が進展せず、イランへの制裁が長引くとの見方も買い材料となった。4日は反落。EIA統計において、減少予想であった製品在庫が大幅増加となったことが嫌気された。ただ、カナダの山火事やドル安は相場を下支えした模様である。5日は反発。トランプ大統領と習近平国家主席が電話会談を行い、近く貿易協議を開くことで合意したとの報が相場を押し上げた。これにより、米中貿易摩擦激化への警戒感が後退する格好となっている。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場はやや上向きを想定するが、引き続き上値重い動きとなるか。OPECプラスの予想を超える増産が懸念されていたが、結果的には予想通りの増産幅に留まり、買い安心感が広がった。その他、米中が貿易協議を開くことで合意し、貿易摩擦激化への懸念が後退したことや、ロシアとウクライナの戦闘激化も相場を支える格好となっている。一方で、米国のドライブシーズンでのガソリン在庫の増加やサウジのOSP引き下げから需要の減少も意識されており、大きく上昇する展開にはならなさそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。