[Vol.2206] 原油相場はまるで「社会の諸事象の頂点」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。105.50ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。4,580.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2604.55ドル(前日比30.45ドル縮小)、円建てで13,918円(前日比179円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月1日 17時22分時点 6番限)
23,657円/g
白金 9,739円/g
ゴム 409.2円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「原油相場はまるで『社会の諸事象の頂点』」
前回は、「プラチナの希少性と用途に注目」と題して、主要四金属の需要内訳(2025年、銅は2024年)を、確認しました。

今回は、「原油相場はまるで『社会の諸事象の頂点』」と題して、原油相場を取り巻く環境(2026年3月以降)を、確認します。

原油相場の高騰が続いています。中東情勢(ホルムズ海峡含む)の悪化、産油国のバランスの乱れ、主要国の金融政策・景気動向、そして米国の原油在庫減少という、複数の材料が上下の圧力をかけ、その結果として原油相場が高騰していると考えられます。米国の原油在庫減少には、アジア諸国が深く関わっていると考えられます。

足元の原油相場高騰を起点とした世界情勢をイメージすると、川上(≒全体)に原油相場高騰があり、川中に各国の政策、法整備が物価高を前提とした動きを強めていること、川下(≒部分)に各国の具体的な品目の価格や水準が上昇していることが、位置していると言えます。

日本国内における、長期金利の上昇、ナフサの品不足への懸念、ガソリンの小売価格の上昇、食品の価格上昇などについては、いずれも世界情勢の川下であり、末端であり、部分だといえます。

今まさに、こうした、私たちの目の前で起きている、懸念を大きくしている事象についてのほとんどが川下、末端であり、それらの最も大きな原因が原油相場高騰であることが分かります。

各国の政策や法整備の動向も確かに、川下、末端に影響を及ぼしますが、その各国の政策・法整備でさえも、川上(≒全体)の原油相場高騰の影響を受けているのです。

以下の図は、川上(≒全体)である原油相場高騰の主な背景を示しています。2026年3月以降の状況を振り返ってみると、中東情勢(ホルムズ海峡を含む)の悪化、産油国間のバランスの乱れ、主要国の金融政策・景気動向、米国の原油在庫減少などが原油相場高騰の背景に挙げられます。

これら一つ一つが、影響度の強弱の差はあれども、原油相場に対し上昇と下落の両方の圧力をかけています。図の右に示した原油相場への影響の矢印のとおり、濃い赤色は強い上昇圧力を、濃い青は強い下落圧力を示しています。

このように、一口に原油相場高騰と言っても、複数の材料がもたらす上昇と下落の両方の圧力によって生じていることを認識する必要があります。決して、中東情勢だけ、産油国の情勢だけ、主要国の金融政策・景気動向だけで、動いているわけではありません。

全体像の把握が必要です。このことは、川中の各国の政策・法整備の今後、川下の各国の具体的な品目の価格・水準の今後の動向を考える上で、大変に重要なことです。原油相場が「経済の血液」と呼ばれる理由の一つが、ここにあります。

図:原油相場を取り巻く環境(2026年3月以降)
図:原油相場を取り巻く環境(2026年3月以降)
出所:筆者作成 イラスト:PIXTA

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。