週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.32ドル高の67.05ル、ブレント原油は4.56ドル高の72.01ドルとなった。

 2月16日から20日にかけての原油市場は、中東情勢の緊迫化に伴う供給不安に加え、米国の需給引き締まりを示す在庫統計が支援材料となり、上昇基調で推移した週となった。

 トランプ大統領がイランとの核協議に関し「10~15日が最大の期限」と発言したほか、米軍が空母打撃群など大規模戦力を中東地域へ展開していると報じられたことで、軍事衝突による供給途絶リスクが急速に意識された。とりわけ、世界の海上原油輸送の要衝であるホルムズ海峡封鎖の可能性が警戒され、地政学的リスクプレミアムの拡大につながった。また、原油先物市場では期近と期先の価格差(タイムスプレッド)が拡大し、需給逼迫を示唆するバックワーデーションが強まるなど、短期的な供給タイト化への思惑が市場参加者の間で広がった。米エネルギー情報局(EIA)が公表した週間統計では、原油在庫が9月以来最大の取り崩しとなったほか、原油および石油製品在庫の合計は前年比で約1,900万バレル減少し昨年7月以来の低水準となった。製油所稼働率も季節的に6年ぶりの高水準まで上昇しており、湾岸地区の原油在庫は6月以来の低水準まで低下するなど、実需面での引き締まりが確認された。輸入面ではカナダ産の減少を補う形でサウジアラビアからの輸入が増加するなど、調達構造の変化も見られたが、総じて在庫水準の低下が需給の引き締まり観測を強める結果となった。こうした地政学リスクと需給改善観測を背景に、北海ブレント原油は一時1バレル=72ドル台まで上昇し約半年ぶりの高値圏に到達、WTIも67ドル近辺まで上昇するなど、週を通じて堅調な推移となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は、米国とイランの交渉期限接近を背景に地政学リスク主導の展開が続きそうだ。交渉進展が見られない場合には軍事行動への警戒感が一段と強まり、中東地域の供給途絶懸念を通じて原油価格の上振れ余地が意識されやすい。特にホルムズ海峡を巡る緊張の高まりは短期的な供給不安を増幅させる可能性が高く、短期筋の買い戻しを伴った上昇圧力につながる展開も想定される。また、足元で米国内の在庫水準が低下傾向にあることや製油所稼働率の上昇が続いている点も、需給面からの下支え要因として意識されやすい。春先のドライブシーズンを見据えたガソリン需要の増加期待が高まれば、精製マージンの改善を通じて原油需要を押し上げる可能性もある。一方で、外交的進展が確認された場合には足元で積み上がった地政学的プレミアムの剥落を通じて調整圧力が強まる可能性もあり、来週は中東情勢関連のヘッドラインに左右される神経質な値動きが続く見込みである。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。