[Vol.2219] 同じように動く金(ゴールド)と株価指数

著者:吉田 哲
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原油反落。中東情勢の緊張緩和などで。91.11ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,602.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は17,460元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年07月限は607.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2628.1ドル(前日比11.40ドル拡大)、円建てで14,112円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月25日 18時36分時点 6番限)
24,022円/g
白金 9,910円/g
ゴム 407.9円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「同じように動く金(ゴールド)と株価指数」
前回は、「ナフサを持たない者は工夫をし続ける」と題して、WTI原油先物(期近)月間平均について、述べました。

今回は、「同じように動く金(ゴールド)と株価指数」と題して、S&P500種指数、NY金(ゴールド)先物の価格推移(日足終値)について、述べます。

しばしば、「金(ゴールド)は株価指数が下落した時の受け皿になる」という話を耳にします。金(ゴールド)価格の動きは株価指数の動きと密接、という話です。今後数回に分けて、本当に「受け皿」なのかについて考察します。

以下の図は、S&P500種指数(以下、S&P500)とNY金(ゴールド)先物の価格推移を示しています。1980年台半ばから1990年台後半までは、相関係数がマイナス0.60と、逆相関(逆の動き)をする傾向がありました。

しかし、2010年ごろからは、相関係数が0.82と、同じように上がったり下がったりするようになりました。

相関係数は、マイナス1.0と1.0の間で決定し、マイナス1.0に近づけば近づくほど、二つは逆に動く傾向があることを(逆相関)、1.0に近づけば近づくほど、二つは同じように動く傾向があることを(順相関)を示す目安とされています。

このことから、2010年ごろ以降は、「株と金(ゴールド)は逆相関」という、金(ゴールド)市場に伝わるナラティブ(物語)は、実態とは言い難いと言えます。

ナラティブはエビデンス(証拠)よりも、伝播力が高く、消費者や投資家の行動に大きな影響を与える傾向があります。このことが、2026年になった今でも「株と金(ゴールド)は逆相関」というナラティブが支配的である理由です。

そもそも、投資活動は、消費活動と異なります。消費活動であれば、ナラティブが優先されることは往々にしてあると思います。インターネットやテレビなどの広告では、ナラティブを深めることが何よりも重視されています。

しかし、投資活動という、大切なご資金を金融商品に投じた上で、それがもたらす損益を受入れる行為において、ナラティブが優先されることは、筆者としてはできれば避けた方がよいと考えています。

もたらされた利益や損失を受入れるためには(自己責任の世界ゆえ、受入れなければならない)、合理的な思考が必要だからです。合理的な思考は、わかりやすさや雰囲気、有名人の言葉に頼っていては、生じ得ません。

だからこそ、投資活動においては(金投資に限らず)、ナラティブから離れ、エビデンスを重視する必要があるのです。

図:S&P500種指数、NY金(ゴールド)先物の価格推移(日足終値)
図:S&P500種指数、NY金(ゴールド)先物の価格推移(日足終値)
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。