[Vol.2218] ナフサを持たない者は工夫をし続ける

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。98.55ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,532.76ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年09月限は17,420元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年07月限は641.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2582.21ドル(前日比1.61ドル拡大)、円建てで14,031円(前日比38円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月22日 18時32分時点 6番限)
23,810円/g
白金 9,779円/g
ゴム 406.4円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「ナフサを持たない者は工夫をし続ける」
前回は、「原油価格高止まり、ナフサ高は継続か」と題して、日本のナフサ輸入単価(各年3月、円建ておよびドル換算)について、述べました。

今回は、「ナフサを持たない者は工夫をし続ける」と題して、WTI原油先物(期近)月間平均について、述べます。

図は、WTI原油先物の価格推移(月間平均)です。イラン戦争が勃発して以降、高止まりしています。足元の中東情勢は、鎮静化よりも悪化の方向を向き、原油価格を高止まりさせていると考えられます。

米中首脳会談で目立った中東情勢の解決策が示されなかったこと、イランが保険料を課すなどホルムズ海峡の航行に関するルール作りを始め、同海峡を実効支配しようとしていること、それに対抗するように米国がイランを再び攻撃することを示唆していることなどは、中東情勢のさらなる悪化を招いていると言えます。

また、石油輸出国機構(OPEC)を脱退し、減産の枠にとらわれず、増産することができるようになったアラブ首長国連邦(UAE)に対し、何らかの武装勢力がドローンによる攻撃を仕掛け、原油の供給増加を妨げるそぶりを見せていることなども、情勢悪化・原油価格高止まりを、後押ししていると言えます。

足元、一部のポテトチップスの包装材の色が白黒になったり、追熟したバナナの流通量が減る懸念が大きくなったりしていますが、今後、この傾向はさらに強まる可能性があると、筆者は考えています。

川上(≒全体)に位置する原油の価格が高止まりしたり、原油の需給が引き締まったりするだけでなく、川中に位置するナフサを輸出する国(産油国とは限らない)や企業が出し渋りをしたり、奪い合いによって国際的なナフサの需給動向が急激に引き締まったりする可能性があるためです。

ポテトチップスやバナナ、納豆、豆腐、カーペット、注射器、医療用手袋・ガウン、タイヤ、ボールは、ほんの一部にすぎません。ナフサが世界中の人々の衣食住の深部まで浸透していることを考えれば、「ナフサを持つ者」は大変に大きな影響力を持ちます。

その者にとって「出し渋り」は、(1)自身のナフサの安定供給を維持し、(2)価格を上向かせて経済的メリットを大きくし、(3)相手に対して影響力を大きくすることができる、一度で複数のうまみがある行為です。

まだしばらく、「ナフサを持たない者」は、知恵を絞り、工夫し続ける必要があると思います。

図:WTI原油先物(期近)月間平均 単位:ドル/バレル
図:WTI原油先物(期近)月間平均 単位:ドル/バレル
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。