週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比12.31ドル安の99.23ドル、ブレント原油は11.79ドル安の97.24ドルとなった。

 先週の原油市場は、停戦合意と供給制約の継続が交錯する中で、歴史的な急落とその後の反発を伴う極めて不安定な展開となった。週初は、中東情勢を巡る不透明感が続く中で高値圏を維持しました。ブレントは110ドル前後、WTIも110ドル台で推移し、ホルムズ海峡の実質的封鎖による供給逼迫が相場を支える構図となり、停戦協議の報道はあったものの、短期的な合意期待は限定的であり、市場は強弱材料が交錯する神経質な地合いであった。週半ばにかけても、米国とイラン双方の強硬・融和発言が入り混じる中で方向感に欠ける推移となった。供給不安が下支えとなる一方、新規材料に乏しく、ブレントは109~111ドル、WTIは110ドル台前半を中心に高値圏でもみ合う展開となった。しかし、週中盤には米国とイランがホルムズ海峡の再開を前提とした2週間の停戦で合意したことを受け、供給途絶懸念が急速に後退し、原油価格は急落した。ブレントは一時100ドルを割り込み、WTIも90ドル台前半まで下落するなど、近年でも最大級の下げ幅を記録した。もっとも、その後は急落の反動もあり相場は反発した。停戦の実効性に対する懸念が強く、実際にはホルムズ海峡の通航がほとんど回復していないことや、タンカーの滞留、機雷リスクなどが確認されたことで、供給制約が依然として解消されていないとの見方が再び強まったことに加え、サウジアラビアのエネルギーインフラ攻撃による生産減少や、紅海代替ルートの機能制約も供給不安を補強した。週後半にかけては、ブレントは90ドル台後半~100ドル近辺、WTIは90ドル台後半で推移し、100ドルの節目を巡る攻防となり、停戦合意という安心材料がある一方で、輸送正常化の遅れや中東各地での軍事行動継続により、相場は方向感を欠きつつも高いボラティリティを維持した。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は、引き続き停戦の実効性とエネルギー輸送の正常化の進展度合いが最大の焦点となるとみられる。停戦合意後も実際のホルムズ海峡の航行は限定的であり、タンカーの滞留や通航制限が続いている。このため、短期的に供給が完全に回復する可能性は低く、需給面では依然として引き締まりが続く見通しである。仮に航行の本格再開や保険・警備体制の整備が進めば、原油価格は一段と下押しされる可能性がある。一方で、停戦はあくまで暫定的なものであり、合意の履行や延長には不透明感が残っている。イスラエルや周辺地域での軍事行動継続、イランの強硬姿勢、さらには湾岸諸国の関与拡大などが現実化した場合、供給ショックが再び強く意識され、価格は再上昇するリスクがある。特にエネルギーインフラへの攻撃や輸送ルートの再遮断が起きた場合、ブレントが再び100ドル台後半へ上昇する展開も想定される。、「停戦による下押し圧力」と「供給制約による下支え」が拮抗する局面となり、WTIで90~100ドル、ブレントで95~105ドル程度を中心に大きく振れる展開が想定される。市場は引き続き、実際の輸送回復状況と軍事・外交の動向をにらみながら、神経質な値動きが予想される。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。