[Vol.2309] 金(ゴールド)を「掘りまくる」人類

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。90.47ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,185.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,443.35ドル(前日比18.95ドル縮小)、円建てで13,088円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月5日 18時55分時点 6番限)
金 21,665円/g
白金 8,577円/g
ゴム 452.5円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)を『掘りまくる』人類」
前回は、「国連の改革が進まなければインフレ継続も」と題して、時間軸ごとのインフレ対策について、述べました。

今回は、「金(ゴールド)を『掘りまくる』人類」と題して、金(ゴールド)地上在庫(筆者推計)とオリンピックプール1杯増加までの年数について、述べます。

人類は大量の金(ゴールド)を地中から掘り出しています。さらながら、かつてトランプ米大統領が、原油の生産量を拡大させる方針として述べた「Drill, Baby, Drill(掘って、掘って、掘りまくれ)」の、金(ゴールド)版のように見えます。今後、採掘量は、そして金(ゴールド)価格はどうなるのでしょうか。

金(ゴールド)と人類の関係は数千年間、続いています。この間、金(ゴールド)は富や権力、美の象徴として人類を魅了したり、しばしば、争いのきっかけになったりしました。その金(ゴールド)は、これまでにどれくらい採掘されたのでしょうか。

金(ゴールド)の世界的な調査などを手掛けるワールド・ゴールド・カウンシル(以後、WGC)は、その量を2025年末時点で約22万トンと、推計しています。そしての3分の2が、1950年以降に採掘されたものとしています。

金(ゴールド)は、他の金属と同様、原油や天然ガスなどのエネルギー、小麦がトウモロコシなどの農産物と異なり、燃焼させてもなくなってしまうことは、ほとんどありません。このため、採掘された金(ゴールド)のほとんどは、何らかの形で地上に残ることになります。その合計が「地上在庫」です。

しばしば金(ゴールド)の希少性を伝える際、「オリンピックプール○杯分」という例えを用いることがあります。現在の世界水泳連盟の規定では、オリンピックや競泳の世界大会で用いるプールのサイズは、長さ50メートル、幅25メートル、深さは最低2.5メートル(シンクロナイズドスイミングなどでも使用する場合は最低3メートル)、とされています。

50メートル×25メートル×2.5メートルは、3,125立方メートルです。これを、金(ゴールド)の密度を立方メートルに置き換えた「19.32トン/立方メートル」で計算すると、およそオリンピックプール3.7杯分になります。人類は数千年かけて、金(ゴールド)をおよそ3.7杯分しか採掘していない、と言うことができるかもしれません。

ただ、実際のところ、近年の諸事象が金(ゴールド)を保有する動機を大きくしていることや、価格高騰を受けて生産を拡大するメリットが大きくなっていることなどを受けて、鉱山生産量は増加しており、それに伴い、地上在庫は増加しています。

2025年の地上在庫は、オリンピックプールおよそ3.7杯だったと述べましたが、15年前の2010年の地上在庫を同じサイズのプールで換算すると、およそ2.8杯でした(約16万トン)。

この間、1杯に迫るおよそ0.9杯分も、地上在庫が増加しました。長い金(ゴールド)の歴史において、まさに今、地上在庫が記録的な変化期を迎えていると言えます。これはまさに、「ゴールドラッシュ」、金(ゴールド)版の「掘って、掘って、掘りまくれ!」だと言えます。

図:金(ゴールド)地上在庫(筆者推計)とオリンピックプール1杯増加までの年数 単位:トン
図:金(ゴールド)地上在庫(筆者推計)とオリンピックプール1杯増加までの年数 単位:トン
出所:World Gold Council、IMF、Our World in Dataなどのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。