[Vol.2313] 「掘りまくれ」を続けることができるのか

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。中東情勢の鎮静化期待などで。90.40ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,202.12ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。27年01月限は20,170元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年11月限は729.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,522.27ドル(前日比7.27ドル拡大)、円建てで13,498円(前日比263円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月9日 13時34分時点 6番限)
金 21,792円/g
白金 8,294円/g
ゴム 454.0円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『掘りまくれ』を続けることができるのか」
前回は、「『非伝統的な有事』が掘りまくる動機に」と題して、ドル建て金(ゴールド)価格の変動イメージ(七つのテーマ)について、述べました。

今回は、「『掘りまくれ』を続けることができるのか」と題して、金(ゴールド)価格と自由民主主義指数の推移について、述べます。

実際に、前々回・前回で述べた「非伝統的な有事」が大きくなっていることを示すデータがあります。以下の図は、V-Dem研究所が試算・公表する「自由民主主義指数(世界平均)」と、金(ゴールド)価格の推移です。

2010年ごろ以降、自由民主主義指数の低下が目立っていることは、世界の民主主義の後退、分断深化、ドル覇権への不透明感、資源・通貨の武器利用、新技術に起因する混乱、長期的なインフレなど、従来の「戦争=有事」だけでは捉え切れない不安・懸念が同時進行していることを示しているといえます。

それに呼応するかのように、金(ゴールド)価格が大きく上昇しています。1990年から2025年までの二つの値の関係を示す相関係数(マイナス1と1の間で決定)は、「マイナス0.72」でした。マイナス1に接近すればするほど逆の動きをする傾向が強いことを示すことから、非伝統的な有事の拡大と金(ゴールド)相場の上昇が、同時進行する傾向があることがうかがえます。

「非伝統的な有事」の拡大を受け、中央銀行が金(ゴールド)を保有する傾向を強め、金(ゴールド)価格の長期上昇トレンドを支える「土台」が、年々、堅牢(けんろう)になっていると考えられます。

目下、人類は大量の金(ゴールド)を地中から掘り出しています。非伝統的な有事の拡大を止められなければ、人類は金(ゴールド)をこれまでにも増して、掘らなければならなくなるでしょう。

この傾向が続けば、金(ゴールド)の地上在庫はオリンピックプール5杯にも、6杯にも、それ以上にも、なるかもしれません。ただし、金(ゴールド)の埋蔵量には限りがあると考えられています。

人類はいつまで、「掘って、掘って、掘りまくれ」を続けることができるのか、という問いについても、考え始めなければならない時期にきていると思われます。

図:金(ゴールド)価格と自由民主主義指数の推移
図:金(ゴールド)価格と自由民主主義指数の推移
出所:世界銀行およびV-Dem研究所のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。