新型肺炎は欧米へ飛び火!?原油市場も要警戒

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。51.38ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,656.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,545元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年04月限は399.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで688.25ドル(前日比14.15ドル縮小)、円建てで2,423円(前日比11円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月25日 18時21分頃 先限)
 5,866円/g 白金 3,443円/g 原油 37,470円/kl
ゴム 185.9円/kg とうもろこし 23,450円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「新型肺炎は欧米へ飛び火!?原油市場も要警戒」

前回は「秋には元に戻るか?新型肺炎拡大後の世界および中国の石油の消費」として、世界全体および中国の石油消費量について、1月に公表された見通しと2月に公表された見通しがどのように変化したのかについて書きました。

今回は「新型肺炎は欧米へ飛び火!?原油市場も要警戒」として、中国国内外の新型肺炎の感染者の前日比に注目します。

新型肺炎の影響が、具体的に欧米に波及した場合、それは欧米にとって対岸の火事ではなく、欧米自体の火事となるため、欧米がメインのマーケットである原油市場が受ける影響は小さくはありません。

2月3週目、欧米で、新型肺炎の感染者や死亡者が出始め、新型肺炎のマイナスの影響が拡大したことで、欧米の主要株価指数の下落が目立ちました。

この件に関連し、日本時間25日(火)未明、WHOの事務局長は、現時点では、パンデミック(世界的大流行)とは言えないものの、各国はそれに備える必要があると発言しています。

以下のグラフは、WHO(世界保健機関)が毎日公表しているデータをベースに作成した、新型肺炎の感染者数および同肺炎による死亡者数の前日比を示したものです。

中国における新型肺炎の感染者の増加のペースは鈍化傾向にありますが、特に2月3週目から、中国以外での感染者の数の増加が目立ち始めています。

2月24日には、中国以外における増加数が300人となり、220人だった同日の中国における増加数を上回りました。もはや、新型肺炎は中国だけの問題ではなく、欧米を含む世界全体の問題となったと言えます。

原油相場の動向を考える上で、ドル建ての原油が取引されている、欧米の主要な株式市場を考慮せざるを得ないため、必然的に、欧米で感染者が増加して懸念が強まれば、欧米の株価が下落、それにより原油相場が下落、という流れが、今後も散見される可能性があり、注意が必要です。

図:新型肺炎の感染者の増減(前日比) 単位:人
新型肺炎の感染者の増減(前日比)

出所:WHO(世界保健機関)のデータをベースに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。