週刊石油展望

著者:三浦 良平
 先週末のWTI原油は前週比 6.47ドル安の59.21ドル、ブレント原油は同6.67ドル安の62.67ドルとなった。

 前週末の海外原油は、前日の大幅反落を受けた押し目買いの動きが入り反発した。また、サウジアラビアの石油精製施設が攻撃を受け、火災が発生せたとの報も支えとなった。

 先週はコロナウィルスの再拡大が重しとなる一方、スエズ運河でコンテナ船が座礁したことで供給懸念が生じたことが支えとなり、1日おきに上昇と下落を繰り返すなど方向感のない展開が続いた。週明け22日は先週末の買い戻しの流れを引き継ぐ形で上昇すると、米長期金利の低下からドル安進行したことが支えとなり堅調な推移となった。翌23日はインドや欧州を中心に新型コロナウィルスの感染が再拡大しており、一部の国でロックダウンなどの封鎖措置がとられていることから石油需要減退への懸念が強まり軟調な推移となった。また、金融市場全体がリスクオフムードとなる中で株安・ドル高進行したことも売りを誘う格好となった。翌24日は世界的な物流の要であるスエズ運河で大型のコンテナ船が座礁し、他の船舶の航行ができなくなっていることから供給懸念が高まり急騰した。また、EIA統計で製油所稼働率が81.6%まで上昇し、米テキサス州が寒波に見舞われる前の水準まで戻っていたことも支えとなった。週末にかけては、スエズ運河を通過する石油は供給のごく一部であるほか、場合によっては航路の変更が可能であることから買い一巡後に戻り売りに押されると、前日の上げ幅をほぼ帳消しにする格好で急反落した。また、コロナ再流行でユーロ圏の景気回復が遅れるとの懸念も重しとなった模様だ。



 今週の原油相場は世界経済の回復期待がコロナ再拡大によってしぼむとの懸念からリスクオフムードが強く、上値重い推移が想定されそうか。今週はスエズ運河でのコンテナ船の座礁により供給懸念が生じたことが支えとなったものの、各国の石油在庫は潤沢にあるほか、スエズ運河からの燃料の供給はごく一部であることから供給不足などの影響はほとんど見られないとの見方が強く、買い一巡後は戻りを売られている。来週1日のOPECプラス会合では減産幅はおおむね据え置かれると予想されているが、実現しても減産維持を織り込んでいる中でサプライズとはならず、反対に材料出尽くしとなり会合後に売りが進む可能性も考えられそうだ。ただし、サウジの自主減産の動向によっては相場が持ち上げられる可能性もあるほか、中東の地政学リスクが高まっていることも支えとなっており、突っ込んだ売りは控えたいところだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長代理として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。