週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.95ドル安の61.86ドル、ブレント原油は同1.57ドル安の65.74ドルとなった。

 前週末は前日までの上昇を受けた利食い売りの動きが優勢となり軟調な推移となった。一方で、ドル安・株高推移したことやイランがウランを60%に濃縮する作業を始めたとの報で地政学リスクが高まったことから下値は限られた。

 先週はインドや日本など主要な石油消費国でコロナウィルスの感染が拡大傾向にあることが嫌気され軟調な推移となった。週明けは米国での石油需給改善への期待感や、独ビオンテックと米ファイザーがEUに追加で1億回分のワクチンを供給することで合意したと発表したことから、対ユーロでドル安進行したことが支えとなり小幅に上昇した。翌20日は世界第3位の石油消費国であるインドで爆発的な感染拡大が続いており、石油需要の下振れが懸念されたことから上値重い推移となった。また、ドル高が進んだことやイラン核動意の再建に向けた協議が進んでいることも重しとなった。翌21日もコロナ感染拡大への懸念を背景に軟調な推移となると、EIA統計において米石油製品需要が軟調だったことや、原油在庫が予想外に増加していたことなども重しとなり続落した。週末にかけては下落した押し目買いの動きから買いが入り小幅なプラスサイドで引けた。



 今週の原油相場はもみ合い~やや下方向への推移が想定されそうか。米国でのワクチン普及に伴う石油需要の回復期待や、欧州でワクチン接種のペースが加速しており、感染拡大が一巡していることは支えとなっている。一方で世界第3位の石油消費国であるインドや日本でコロナ感染拡大が進行していることは重しとなっており、強弱まちまちな展開が予想されそうだ。来週行われるOPECプラス会合では現在の合意内容から変更はないと見られているものの、関係者のコメントなどで上下する可能性も考えられるため注意しておきたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。