きょうのNY為替市場は序盤はドル買いの展開が見られたものの次第にドルは戻り売りが優勢となった。ドル円は113円台に再び下落している。きょうも主要な米経済指標の発表もなく、引続き材料は見当たらないもののドルの上値は重い。米株や米国債利回りが利益確定の動きを見せておりドルを圧迫していたようだ。 米税制改革への期待の一方で、今回の米下院共和党の税制改革案では10年間で1.5兆ドルの財政赤字が生み出されるとも試算されている。一部では期待と同時に財政赤字拡大への懸念にも市場は意識を向け始めているのではとの指摘も聞かれる。 ただ、財政赤字拡大については当初からわかっていた話でもあり、改めて強く意識する材料でもない。米利上げ期待も強まる中、このところのドル高にやや調整が入っているといったところかもしれない。 ドル円は114円台を回復してNY時間が始まったが、113円台に再び値を落とした。ただ、113円台に入るとファンド勢や個人投資家の買いも断続的に出るようで売りを強める動きまでには至っていない。一方、きょうは114.30付近で上値を止められており、前日の下げから114.50水準には慎重になっている様子もうかがえる。 一方、ユーロドルはロンドン時間には1.15台半ばまで下落していたものの、1.15台後半まで戻した。ただ、市場は次第に弱気な虫も出始めており、1.15割れはもちろんのこと、現在1.12台後半にいる200日線までの下げの可能性を指摘する向きまで出始めている。 さすがに200日線はまだ時期尚早とは思われるが、下値ターゲットとして心理的節目の1.15は視野に入ると同時に、1.15をブレイクした場合、今年の上昇波のフィボナッチ38.2%戻しにあたる1.14台前半が視野に入る可能性はありそうだ。 ポンドはNY時間に入って買い戻しが優勢となり、ロンドン時間の下げの大半を取り戻した。前日の大幅な買い戻しで下値警戒感が和らいでいるのかもしれない。 ただ、今週から再開するEU離脱交渉の行方に関心が集つまっており、移行プロセスが年内に合意できなければ、次のステップの貿易交渉には進めない。閣僚のセクハラスキャンダルもありメイ政権の足腰も弱る中、12月のEU首脳会談までに何らかの結論を出せるかは依然として微妙な情勢だ。 もし、メイ政権と伴に離脱交渉にも不透明感が強まるようであれば、ポンドは一段の下げも予想される。市場には、この先EU離脱交渉を巡って一喜一憂し、荒い値動きを予想する向きもいるようだ。 なお、午後になってイエレンFRB議長のスピーチが伝わっていたが、金融政策や経済についての言及はなかった。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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