今週のまとめ10日30日から11月3日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 30日からの週は、ポンド以外の主要通貨は比較的落ち着いた値動きだった。イベントとしては日米英各中銀の金融政策発表があった。日銀はこれまで通りの強力な緩和策継続が再確認された。米FOMCでは12月の利上げが織り込まれるなかで、今回は据え置き。市場反応はほぼ無風だった。大きな反応を呼んだのが英中銀の発表。市場の予想通り政策金利を0.50%に引き上げた。発表直後にポンドが買われたものの、すぐに反転して大幅安となった。今後3年間で2回の利上げを想定、としておりEU離脱の経済への影響についての警戒感も示された。市場では追加利上げ時期が見通せない状況となっていた。また、話題となったのが次期FRB議長人事。2日にようやくパウエル氏が正式に指名された。株式市場は全般に好調な動きを続けている。それほどタカ派に傾かない各国中銀の程よい姿勢や好調な企業決算などが背景。為替市場では緩やかな円安の動きがみられ、ドル相場の値動きは落ち着いた。


(30日)
 東京市場は、静かな取引。ドル円は113円台後半での推移。朝方に113.80台まで上昇したが、上海株の下落が香港株や日経平均にも波及し、リスク回避的な円買いに。一時113.50台まで下押しされた。米債利回りはやや低下。ユーロドルは1.16近辺でのもみ合い。豪ドルは0.76台後半で小動き。豪副首相の二重国籍問題への反応はほとんど見られなかった。

 ロンドン市場は、ややドル売りが優勢も小動き。今週は日米英の各中銀が金融政策を発表する予定となっており、週明けは取引を手控える参加者が多いようだ。ドル円は113円台後半で上値重く推移。先週末NY市場でパウエル氏が次期FRB議長候補として有力と報じられドル売りを誘っていた。ユーロは小高い。スペイン株が買われており、カタルーニャ情勢への反応は一服。ポンドも小動き。

 NY市場では、ドル売りが優勢。一部報道で、トランプ大統領の税制改革の目玉である法人税減税に関して、米下院で段階的な導入が検討されていると伝わったことが嫌気された。月末を控えてドル高の調整を誘った面も。ドル円は113円割れまで下落。ユーロドルは序盤のドイツ消費者物価が予想を下回ったことで1.16ちょうど近辺まで下落したが、その後は1.16台を維持しての推移。ポンドは堅調。今週の英MPCでの利上げ観測が下支え。

(31日)
 東京市場で、ドル円は113円台前半でのもみ合いが続いた。朝方に113円割れとなる場面があったが、下がったところでは買い意欲がみられた。ただ、戻りは鈍く113円台前半での取引が続いた。昼過ぎに日銀金融政策決定会合の結果が発表された。事前予想通りでサプライズ無し。日経平均先物が下げ渋る場面で113.28レベルをつけたことが高値に。

 ロンドン市場は、引き続き小動き。ドル円は序盤に112.96レベルまで下げた後113.42レベルまで上昇。東京市場のレンジを上下に広げたものの、113円台前半での推移が続いた。ユーロドルは1.16台半ばから前半での取引。ユーロ圏GDP速報値は事前予想をわずかに上回ったが、同消費者物価速報は前年比が+1.4%とやや伸び鈍化。反応にしくい結果だった。ドル相場は米債利回り動向に神経質に反応していた。

 NY市場では、ポンドが堅調。今週木曜日の英金融政策会合を控えて利上げ期待があり、買戻しを誘ったもよう。また、EU離脱交渉で通商交渉が近いうちに始まるとの期待もあった。ポンド円は151円台を回復。ポンドドルとともに21線を上放れた。ドル円は一時113.70近辺まで上昇。月末関連のフローが入った。ユーロドルにも買いが入ったが特段の材料はみられなかった。

(1日)
 東京市場は、株高とともにドル買いが優勢。ドル円は113.90台まで買われた。日経平均が400円超高となり、リスク選好の動きが広がった。米10年債利回りの上昇とともにドルが買われている。ユーロドルは1.16台半ばから前半へと軟化。NZドルは第3四半期雇用統計の好結果を受けて買われた。NZドル円は一時78.70近辺と約1円上昇した。

 ロンドン市場は、リスク選好的に円売りが広がった。日経平均が大幅高となった後を受けて欧州株も堅調に取引を開始。米株先物も一段高。原油や金など商品先物も高い。ドル円は一時114円台をつけた。クロス円はNZドルや豪ドルなどオセアニア通貨が先行して上昇。ポンドは英製造業PMIの上振れや英利上げ観測が下支えとなった。ポンド円は151円台後半に上昇。ユーロは対ポンドで安く、ユーロ円の上昇は132円台後半まで。カナダドルにはNY朝方に買いが入っていた。

 NY市場では、FOMC発表後にドル買いの動き。序盤はドル売りが先行。10月の米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことでドル円は114円割れとなったが、FOMC通過後は114円台に戻した。FOMCで金融政策は予想通り据え置き。声明では「経済活動はハリケーンにもかかわらず底堅い。ハリケーンは中期的な経済の道筋に変化を与えていない可能性」とした。ユーロドルは1.16台前半での上下動に終始。一方、ポンドドルは売りが強まった。あすの英MPCを控えて調整が入ったもよう。次期FRB議長人事で、パウエル氏が指名されると報じられた。

(2日)
 東京市場は、やや神経質な動き。ドル円は朝方に114円割れ。その後、日経平均はプラス圏からマイナス圏に転じる。この日の英金融政策会合やあすの米雇用統計を控えて調整ムード。ただ、午後にかけては再び日経平均がプラスに戻す動き。ドル円の下げは113.70台までに留まった。ポンドドルは1.32台後半でのもみ合い。

 ロンドン市場では、英中銀政策発表を控えてポンド売り優勢。利上げ観測を背景としたポンド買いにポジション調整が入った。ポンドドルは1.33台に乗せられず1.32台前半に反落。ポンド円は151円割れ。ユーロは、対ポンドで買い戻し。独雇用統計や製造業PMI確報値には反応薄。ドル円は114円台を回復も値動きは小幅。前日のFOMCを無風で通過し、動意薄に。

 NY市場では、ドル円が激しく振幅。米下院共和党が税制改革案の概要を公表し、米債利回りや米株が下げるネガティブな反応。一部には成立させることができるのかと懐疑的な見方も。その後、トランプ大統領が次期FRB議長にパウエル氏を指名すると正式に表明。株が買われた。ドル円は、序盤に113.60近辺まで下げた後114円台を回復した。英中銀は10年ぶりに利上げを実施。この先3年間で2回の追加利上げを想定しているとした。EU離脱の経済に与える影響を不安視していた。市場は一時ポンド買いもすぐに売りに転じた。目先の追加利上げは遠のいたとの見方。ポンドドルは1.32台から1.30台に、ポンド円は151円台から148円台に下落。
 
(3日)
 東京市場は、文化の日の祝日で休場。

 ロンドン市場は、米雇用統計発表を控えて小動き。そのなかでややドル買いの動きが優勢。ドル円は114円乗せ、ユーロドルは1.16台前半での取引。米債利回りが小幅に上昇したことに反応した。好決算のアップル株が時間外取引で堅調で、米株先物が堅調。前日大幅下落となったポンドは一時下値を広げたものの、予想外の強さを示した英非製造業PMIをきっかけに下げ渋っている。一方、豪ドルは、この日発表された豪小売売上高の下振れを受けて軟調。

 NY市場はドル買いが優勢となり、ドル円は一時114.45付近まで上昇した。この日の米雇用統計は予想を下回り、発表直後は113.65近辺まで下落。しかし、直ぐに114円台に買い戻されている。米雇用統計は予想を下回ったものの、全体的にFRBの利上げ期待を後退させるような内容との受け止めはなかったようだ。しかし、目先の上値目標となっている114.50水準での抵抗は根強く押し戻されている。ただ、114円台は堅持したといったところ。  

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