きょうのNY為替市場でドル円は乱高下した。米下院共和党が税制改革法案の概要が公表されており、為替市場はドル売りが強まった。米国債利回り、米株も下げネガティブな反応が見られた。 法人税は20%に引き下げ、401KやIRA(個人退職年金)への課税は変更無しとなっている。特に注目だったのが住宅ローン減税措置の適用範囲であったようだ。これまでは夫婦世帯で購入価格100万ドルが上限だったが、それを50万ドルへの引き下げを提案している。また、海外留保資金の米国回帰を促す一度限りの減税措置が12%となっているようだ。これはトランプ大統領やライアン下院議長の主張してきた10%よりは高い。 一部には成立させることができるのかといった不安も出ていたようだ。 なお、トランプ大統領が次期FRB議長にパウエル氏を指名することを発表した。事前に観測が流れていたこともあり市場の反応は限定的。 税制改革法案の概要に米株や米国債利回りと伴にドル円は一時113.60近辺まで急降下。しかし、市場も直ぐに落ち着きダウ平均が下げを取り戻すと、ドル円も114円台を回復。米下院共和党の税制改革法案に関しては修正の可能性もあり、動向を見極めたい雰囲気もあるようだ。 このところのドル円は114円台には上昇するものの、114円台前半で上値を止められており、目先の上値目標である114.50水準を試す動きまでは見られていない。明日は東京勢は祝日で休みだが、米雇用統計の発表が控えている。その結果を見極めたい雰囲気もあるようだ。 一方、ポンドは下値模索の動きが続き、ポンドドルは1.30台半ば、ポンド円は一時148.60近辺まで下げ幅を拡大した。きょうの英中銀金融政策委員会(MPC)を受けてポンド安が強まっている。 MPCはリーマンショック以来10年ぶりの利上げを実施した。しかし、反対した委員が2名いたことや、同時に発表になった四半期インフレ報告ではGDPやインフレ見通しを下方修正している。市場では今回の利上げはあくまで昨年の緊急利下げの修正の範囲でインフレ抑制のためではないと見ているようだ。 声明でも2020年末の政策金利を1.0%と予想しており、この先3年間で2回の利上げを想定していることを示していた。英中銀のEU離脱の経済に与える影響への不安は根強い模様。 次回の利上げ時期が見えず、当面は据え置きとの見方が強まっており、ポンドは売られる格好となった。 ユーロは堅調な動きを続け、ユーロ円は133円ちょうど付近で推移。米下院共和党の税制改革法案の概要が伝わった直後はドル円が急降下したことで、ユーロ円も連れ安となり、一時132.65付近まで下落する場面が見られた。しかし、動きが一巡するとドル円に買い戻しが入り114円台を回復したことから、ユーロ円も133円ちょうど付近まで戻す展開となっている。 先週のECB理事会を受けてユーロは売りが強まっていたが、ここ数日はその動きも一段落しており、ユーロ円も買い戻しが続いている。きょうで3日続伸。 きょうの上げで21日線の水準に復帰しており、明日以降の動きが注目される。目先は10月の高値が134.50付近にあり上値目標として意識される。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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