NY時間の終盤に入ってドル円は上値の重い展開が続いている。一方、ユーロは前日に引続き下値模索が続いている状況。朝方発表になった第3四半期GDP速報値が予想を上回ったことでドル円は一時114.45付近まで上昇し、目先の上値レジスタンスとされている114.50水準に接近した。 GDPは個人消費も予想は上回ったものの、第2四半期が高い伸びを示していたこともあり減速していた。主に在庫投資と純輸出が寄与している。 ただ、その後、トランプ大統領が次期FRB議長にパウエル氏指名に傾いていると報じられたことをきっかけにドルの戻り売りが強まり、米国債利回りの下げと伴にドル円も一時113.70付近まで下落。まさにパウエル・ターンといったところ。その後は114円付近まで買い戻されたが、114円付近の売り圧力も強く113円台での推移が続いている。 パウエル氏は現在FRB理事だが、市場では同氏のスタンスはイエレン議長に近いと見られている。決してハト派ではないと思われるが、対抗馬とされるテイラー氏に比べれば、ハト派に見られるようだ。一方、テイラー氏はルールに基いた金融政策決定を標榜しているが、同氏が提唱しているテイラー・ルールからすれば、政策金利は既に2%を超えていなければならないとの見方もある。 そのような状況からパウエル氏が新議長であれば、ドルと米国債利回りは下げの反応となるようだ。 なお、トランプ大統領は次期FRB議長の指名を来週正式に発表すると伝わっている。 ユーロは下値模索が続いており、ユーロドルは1.15台に一時下落し、ユーロ円は131円台まで下げ幅を拡大した。前日のECB理事会後の下げが続いており、これまで積み上げてきたユーロロングを解消する動きが加速している。ユーロドルはきょうの動きで100日線を完全に下放れする展開となっており、心理的節目の1.15ちょうどを視野に入れる動きが見られている。 前日のECBの決定は資産購入を現在の600億ユーロから300億ユーロに減らし、期間は1月から9月までとした。決定自体は事前予想が多かった内容でもありサプライズは小さい。ただ、ECBが慎重姿勢を強調しており、「必要なら購入額や期間を変更する用意がある」との文言を温存し、更にドラギ総裁の会見でも「少なくとも9月までは続ける」との言及がユーロ売りを先導している。 もしかすると、それ自体も予想範囲内だったのかもしれないが、ドルの地合いが強まっている局面でもあり、ユーロを売り易くしているのかもしれない。 ポンドは上値が重い。ポンド円は148円台に瞬間下落する場面が見られた。ただ、一時的な下げに留まっている。きょうの21日線は149.05付近にきているが、その水準は維持されている格好。 来週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されており、リーマンショック以来始めての利上げがほぼ確実視されている。足元のインフレが許容上限の3%に上昇していることが英中銀の利上げを後押ししているようだ。 しかし、ポンドは上昇の反応をあまり示していない。市場では今回の利上げで当面政策金利は据え置かれるとの見方が広がっている。なかには来年一杯据え置きとの見方まで出ているようだ。EU離脱交渉への不透明感や、実体経済が期待したほど伸びないと指摘されている。 利上げを実施しても同時に公表される英中銀四半期インフレ報告や声明の内容次第ではポンドはネガティブは反応も警戒されているようだ。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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