とれんど捕物帳 来週はドル円が買戻されるか注目

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 今週もドル売りの流れが続きドル円は心理的節目の110円を割り込む場面も複数回見られた。下値では押し目買いも見られ110円台はかろうじて維持していたが、上値は相変わらず重い中、週末の米雇用統計が強い内容だったことはロング勢にとってはホットした感があったであろう。

 米雇用統計は現段階では完璧に近い内容であっただろう。完全雇用に近い中で、非農業部門雇用者数(NFP)は20万人を超え、労働参加率も上昇し、失業率は4.3%に再び低下している。そして、何といっても平均時給は安心感をもたらしたであろう。前年比では予想を若干上回り、前月比ではプラス0.3%と高めの上昇となった。これまで同様に力強い米労働市場が示されている。

 インフレ鈍化による年内の米利上げへの不透明感のほかに、トランプ大統領への不透明感がドル安を誘導している。今週もモラー特別検察官が大陪審召集との報道や、スカラムッチ広報部長をたった10日で解任するなど雑音が途絶えることがない。市場も慣れてしまったのか、一時的な反応に留まっているが、ロング勢にとっては何か出るたびにヤキモキさせられる。「一層のことペンスで」と言いたくなる投資家も少なくないのかもしれない。今後、トランプ政権が本格的にまずくなったら、市場は逆にペンス期待から意外にポジティブな反応も予想される。

 米国は「ロシアゲート」、日本は「学園ゲート」で政権が揺らいでいるが、いずれにしろ経済のみが両首脳を救ってくれる。特にトランプ政権の税制改革は「MUST」だ。アベノミクスもセカンドステージでもプレミアでも、エクスパンドでも何でも良いので、ぜひがんばって頂きたい。

 さて来週だが、ドル安に過熱感も出る中、週末の米雇用統計を通過して、これまでのドル安の流れに一服感が出るか注目される。来週は米消費者物価(CPI)の発表などが控えており、インフレ鈍化懸念を和らげるようであれば、ドル反転の可能性も期待できそうだ。CPIは前年比で1.7%が予想されている。今週のISM指数を見た限りでは、企業の仕入れ段階では価格低下が一服している感もあり、原油価格も反発している中、CPIも下げ止まりも期待したい。

 今週、伝わっていた米地区連銀総裁からの発言からすいると、年内あと1回、来年3回の利上げ見通しはなお温存しているようにも思われる。以前から述べているが、CPIで前年比1.5~2.0%の間に落ち着くようであれば、12月の利上げは実施してくるものと引続き予想している。

 想定レンジだが109.00~112.00とやや買戻しを想定。スタンスは中立で変わらず。

()は前週 
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 →(↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 →(↑↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑)

(みんかぶ「Klug」 野沢卓美)
 

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