今週のまとめ7日31日から8月4日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 31日からの週は、ドル売りが相場を主導した。ロシアゲート関連など米トランプ政権をめぐる様々な報道が米国の政策実行力への不透明感を広げた。ドル円は一時109円台に下落、ユーロドルは1.19台をつけた。ドル指数は1年3ケ月ぶりの低水準となった。一連の米経済指標も早期利上げの手掛かりとなるような内容は見受けられなかった。ポンドは下落。英金融政策委員会(MPC)で政策金利6対2で据え置かれ、利上げ票が減少。四半期インフレ報告で、成長見通しに加えて賃金見通しが引き下げられたことが、市場の利上げ期待を後退させた。リスク動向では、米株式市場が注目された。一連の決算発表はピークアウトするなかで、ダウ平均が初の2万2千ドル台をつけた。一方で、ハイテク主導のナスダック指数は高値からの売りに押された。NY原油先物は50ドル台をつけたあとは上昇一服。全般に週末にかけては調整ムードが広がった。米雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが20万人を超え、労働参加率上昇とともに失業率が低下するなど強い内容だった。賃金の伸びは前年比+2.5%と前回並を維持。ドル買いの反応が広がり、今週のドル売りの流れに一矢報いる形となった。


(31日)
 東京市場は、ドル売りが優勢。前週末に米GDPの弱い結果に反応してドル売りが進行。週明けもその延長線上の動きから開始。ドル円は110円台半ばを割り込むと110.31近辺に安値を広げた。週末にかけて報じられた北朝鮮のICBM発射実験の報道が地政学リスクを意識された面も。その後は110円割れは回避されて値動きは落ち着いた。豪ドルも序盤に軟化したが、中国製造業PMIの発表後は下げを戻して揉み合いに。

 ロンドン市場では、円売りが先行したものの値動きは限定的だった。ドル円は序盤に110.77レベルまで反発。欧州株に買いが先行したことに反応。ただ、トランプ政権の外交政策への不透明感もあって円売りは続かず。7月のユーロ圏消費者物価指数は前年比+1.3%と予想通りの結果でユーロは反応薄。ユーロドルは1.17台前半での揉み合い。一方、6月の英住宅ローン承認件数がやや弱含んだことでポンドには売り圧力。ポンドドルは一時1.31割れ。ポンド円は145円割れ。

 NY市場では、ドル売りが強まった。午後になってトランプ大統領がスカラムッチ氏を広報部長の職から解任したと報じられ、ドル円は110.20近辺まで下落。ユーロドルはロンドンフィキシング関連の動きもあって上値追いが加速し、1.18台乗せから1.1845近辺と2015年1月以来の高値水準となった。トランプ大統領に関する雑音が依然として消えない中、市場では政権運営に不安感が高まっている。
 
(1日)
 東京市場で、ドル円は一時110円に迫る動き。前日のNY市場夕方にスカラムッチ氏を広報部長の職から解任との報道でドル円は110円台前半に下落。東京市場ではしばらく揉み合いが続いたが、昼前にドル売りが再燃、110.01レベルまで安値を広げた。ただ、大台割れには至らず。ユーロドルは1.18台を維持。豪中銀理事会では豪ドル高へのけん制がみられたが、豪ドル売り反応は限定的。

 ロンドン市場では、ポンドが強い指標に反応。英製造業PMIが予想を上回ったことでポンドドルは1.3240近辺と昨年9月以来の高値水準に上昇。ポンド円は146円台に乗せた。ドル円やクロス円はポンド買いに連れ高。ドル円は110.53レベルまで反発。ユーロ円は130円台半ばへ。欧州株はプラス圏推移、NY原油先物は50ドル台乗せとリスク動向は安定している。

 NY市場では、ドル円が一時110円を割り込んだ。7月の米自動車販売が予想以上の減少となったことを嫌気しドル売りが強まった。ドル円は一時109.95近辺まで下落。ただ、110円割れでは買い意欲が旺盛で、110円台前半へと戻した。ユーロドルは1.18ちょうどを挟んで上下動。根強いユーロへの資金流入が続いている。ただ、市場では急ピッチのユーロ高で来月のECBインフレ見通しの影響が出る可能性が指摘されていた。

(2日)
 東京市場は、午後に入ってユーロ円が急伸した。ドル円は110円台前半から110円台後半に上昇、ユーロ円は130円台前半での揉み合いから上抜けて131円台へと買われた。特段の材料はみられずポジション調整主導とみられる。NZドルは下落。第2四半期のNZ雇用統計で雇用者数増減や労働参加率の弱かったことが背景。

 ロンドン市場では、ユーロ買いが先行。ユーロドルは1.18台前半から直近高値を上抜けたことで1.1868レベルまで高値を伸ばした。ユーロ円は131.40近辺まで上昇。ユーロには根強い買い意欲が継続している。6月のユーロ圏生産者物価指数は予想通りで材料視されなかった。ポンドも連れ高。あすの英中銀金融政策会合を控えてタカ派方向への思惑がでていた。ドル円は111円台には届かないものの110円台後半で高止まり。

 NY市場では、ユーロ買いが継続。ユーロドルは一時1.19台をつけた。ドル円は110.30近辺まで反落も110.75近辺まで戻す上下動。クリーブランド連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁の発言が伝わっていたが、インフレ鈍化の一部は特殊要因で過剰反応すべきではないとの認識や、この秋のバランスシート縮小開始を支持するといった発言がドル円をサポート。アップルの好決算で米株上昇も、高値圏で神経質な面があった。

(3日)
 東京市場は、小動き。ドル円は110円台後半での揉み合いが続いた。前日の海外市場では111円手前まで上昇も110.30割れ水準に下落するなど不安定な振幅をみせていた。あすの米雇用統計発表を控えて上下どちらにも抜けない相場展開に、東京市場では様子見ムードが広がっている。ユーロドルは前日の1.19台乗せで上昇に一服感との声もあった。

 ロンドン市場では、英中銀発表を受けてポンドが急落。英中銀は政策金利据え置きを6対2で決定、前回の5対3から利上げ票が減少した。インフレ報告では2017・2018年成長見通しおよび2018・2019年賃金見通しなどが引き下げられた。この結果を受けて、ポンドドルは1.32台半ばから1.31台半ばへ、ポンド円は146円台半ばから145円台前半へと売り込まれた。ドル円は110円台後半、ユーロドルは1.18台後半で小動き。対ポンドでの円買いやユーロ買いが入ったが、米指標発表を控えて値動きは限定的。

 NY市場では、ドル売りが優勢。ISM非製造業景気指数は53.9と昨年8月以来の低水準。新規受注や雇用の低下が影響した。一方、仕入価格は前回から上昇した。市場はドル売りに反応。ドル円は一時110円割れ。さらにトランプ大統領のロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官が大陪審を召集したとの報道が流れ、ストップを巻き込んで一時109.85付近まで下落した。ユーロドルは1.18台前半から後半でに上昇。一方、ポンドドルは1.31台前半で低迷した。

(4日)
 東京市場は、米雇用統計を控えての揉み合い。ドル円は110円割れで取引を開始、109.85近辺まで下押ししたあと、110円台前半に反発している。ただ、上値も110.20レベルに届かずと重い。ユーロドルなど他の主要通貨も基本的にもみ合い。ポンドは英中銀副総裁がインフレのピークアウトに言及したことで、一時売り反応も値幅は限定的だった。

 ロンドン市場は、米雇用統計発表を控えて小動き。ドル円は110円台前半、ユーロドルは1.18台後半で、東京市場からのレンジを引き継いでいる。一連の欧州小売業PMIが発表され、前回からの低下が相次いだが、ユーロ相場は反応薄。ポンドはやや買い戻しが入った。ポンドドルは1.31台後半へと高値を伸ばし、ポンド円は145円手前までの上昇。ただ、値動きに継続性はみられず、その後は上昇を消している。

 NY市場は朝方発表になった米雇用統計が予想を上回る内容となったことから為替市場ではドル買いが強まった。ドル円も買い戻しが強まり、米雇用統計発表前の110円ちょうど付近から一時111円台を回復する場面も見られた。コーン米国家経済会議(NEC)委員長が「秋にも包括的な税制改革法案を提出したい」と述べたこともフォロー。 

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