【来週の注目材料】ドル高は続くのか?米要人発言から今後の米金融政策動向を読む

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、
事前見通し通り政策金利(FF金利翌日物誘導目標)が0.25%引き上げられ
声明では、年内のバランスシートの正常化(償還債券の再投資の減額)開始について
条件付きではありますが、言及してきました。

 今後の金融政策を見るうえで注目を集めた
FOMC参加メンバーによる年末時点での政策金利見通し(ドットチャート)では
今年年末時点での金利見通しは
年内あと一回の利上げを見込むという意見が最多となりました。

 具体的には
12名のメンバー
(3月時点では13名でしたが、4月に辞任したリッチモンド連銀総裁の後釜がまだ決まっていません)は
4名が年内利上げ打ち止め、8名があと1回の利上げ、4名があと2回の利上げを見込んでいます。

 3月時点と比べると、
年内利上げ打ち止め派が1名増え4名に(正確には3月時点では今回の利上げすら見送りが2名いましたが)。
前回も最多意見であったあと一回の利上げが9名から8名に。
後二回の利上げを見込むメンバーは変わらず4名。
あと四回の利上げを見込んでいた超タカ派の1名がいなくなったという格好です。
超タカ派のメンバーはこれまでの発言から
4月で辞任したラッカー委員の可能性がかなり高いため
今回省くと、概ね変わらずという印象です。

 今回の予想(プロジェクション)では、インフレ見通しがかなり引き下げられているだけに
利上げ見通しの実質的な据え置きは少し意外感もあり
市場としても反応に迷うところ。

 金利先物市場では年内据え置きと、あと一回の利上げという見通しが
ほぼ拮抗していましたが、
FOMC後もこの状況は変わっていません。

 ということで、今後この見通しがどうなっていくのかで
相場動向はかなり変化しそうです。

 そうした中、来週はFRB関係者の発言予定が多数並んでいます。
FOMC前には発言が禁止される期間(ブラックアウトルール適用期間)があるため
FOMCが終わって、講演予定などが一気に揃った形です。

 予定を列挙してみましょう
19日月曜日にダドリーNY連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁
20日火曜日にカプラン・ダラス連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁、フィッシャーFRB副議長
22日木曜日にパウエルFRB理事(上限議会証言)
23日金曜日にブラード・セントルイス連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、パウエル理事
となります。

 このうち注目度が高いのは
19日月曜日21時からのダドリーNY連銀総裁によるNYでのビジネスディスカッションと
23日木曜日23時からのパウエルFRB理事の上院銀行委員会での議会証言
(本来ならそれにフィッシャー副議長が加わりますが、今回は一般非公開のイベントです)

 まずはダドリー総裁ですが、
米国の金融政策の実務を担当し、FOMCでは副委員長を兼ねるダドリー総裁は
金融政策を見通すにあたってイエレン議長に次ぐ重要人物といっても過言はありません。

 昨年12月の利上げの前にも
ダドリー総裁の前向き発言から、利上げ期待が広がった経緯があります。

 ダドリー総裁は基本的にはハト派ですので
年内据え置きを見込んでいる可能性もありますが
それ以上に現実的な見通しを示すこともありあと一回の利上げ派であった可能性もあります。

 今回のディスカッションでそのどちらに属していたのかがわかれば、
今後の流れの予想に役立ちそうです。

 発言で、年内打ち止めを示唆してくると、それなりにドル売りになる可能性があります。

 パウエル理事は比較的中立なメンバーだけに
今回の見通しではあと一回の利上げを見込んでいた期待が強いです。

 なお、22日の場合は、講演会ではなく公的な議会証言だけに発言の重みが違います。
利上げ見通しをしっかりと示してくるとドル買いもありそうです。

minkabu「KlugFX」山岡和雅 

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