さて、いよいよ来週の13日、14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。 今回のFOMCについては、これまでいろいろと思惑が交錯しまきました。 もっとも、ここにきて市場の見通しはほぼ一致。 政策金利を現行の0.75%~1.00%から1.00%~1.25%へ利上げすることは ほぼ確定的と見られています。 金利決定については波乱要素は少ないと見られ(万が一据え置きとなるとパニックになりますが) 市場の注目は、今回ではなく、これ以降の利上げや量的緩和の状況。 もともと今年は年3回の利上げというのがFOMCメンバーも公言している基本路線でした。 3月に利上げしていますので、今回の利上げと合わせ、あと一回、9月か12月のFOMCでの利上げが見込まれていました。 一時は9月に利上げを実施し、12月に量的緩和の縮小(バランスシートの調整)について決めるという見方が強まる時期もありました。 しかし、ここにきてエネルギー価格の低迷などもあり、米国のインフレ見通しがやや鈍化しており、無理に利上げを急ぐ必要はないのではとの見通しが強まっています。 米国のインフレターゲットはPCEデフレータの前年比を中期的に2%で安定というもの。 しかし、先月30日に発表された直近4月のPCEデフレータは、3月の1.9%(速報時点の1.8%から上方修正)から1.7%に鈍化。同コアデフレータは3月の1.6%から1.5%に鈍化するなど、上昇が抑えられている状況です。 エネルギー価格特に原油価格の低迷が見込まれているだけに、今後についても上がりにくいのではと考えられています。 FOMC発表の前に、5月の消費者物価指数(CPI)の発表がありますが、こちらは前年比+2.0%と4月らか低下見込み。食品とエネルギーを除くコアは4月と変わらずですが+1.9%と2.0%に届かない水準となっています。 CPIはPCEデフレータと似たような動きを示しますが、基本的にはPCEよりも高めに出ますので、今月後半に発表される5月のPCEも弱めの数字が予想されるところで、利上げ先送り見通しに寄与しています。 そうした意味では、今回最大の注目は、FOMCメンバーによる予想(Projection)です。 プロジェクションが発表されるのは年8回のFOMCのうち、半分の4回。3月、6月、9月、12月のFOMC. 前回3月の見通しにおいて、2017年末時点での政策金利見通しは1.375%と、6月に加えてあと1回の利上げを見込む動きが大勢となっていました。 なお、それ以上の利上げペースを見込むメンバーも5名。6月で打ち切りもしくは6月時点もなしという見通しが3名という状況でした。 今回の注目はこれがどこまで下がっているか。6月の利上げを計算に入れた1.00~1.25%が多数を占めてくるようだと ドル売りが広がる可能性も。 また、予想の中では物価見通しにも注目。年末時点でのPCEデフレータの見通しは1.9%。同コアも1.9%という見通しでした。 しかし、ここにきてエネルギー価格の低迷などが物価上昇を抑えています。この予想値が下方修正されるようだと、利上げ期待が後退し、ドル売りにつながる可能性があります。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。