様子見気分が強く小動き ドル円は111円台後半で上下動=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場は全体的に様子見気分が強く小動きに終始した。市場は前日のFOMC議事録を見極めようとしている雰囲気が強い。議事録では「景気減速が一過性であるという証拠を待つのが賢明」と言及しており、その文言にきのうの市場は敏感に反応していたが、バランスシート縮小に関しては大半が年内開始を支持しており、「引き締めは近く適切になる公算大」とも言及している。また、個人消費は今後数ヵ月で回復を予想とも述べていた。

 議事録を受けてドルは売りが強まっていたが、市場は6月利上げ期待を後退させてはいない。CMEのFEDウォッチでは逆に、6月利上げの確率を、きょうは87%超まで上昇させている。ただ、今回の議事録を通過して6月利上げに対する不透明感も少なからずあり、現状では6月13日、14日のFOMCまでの指標を丹念に見て行くしかないといったところなのかもしれない。

 ドル円は111円台後半での値動きに終始した。112円台に接近すると上値抵抗も強く一方で、ダウ平均が再び最高値圏に接近するなど堅調な動きを続けていることから、下値もサポートされている。きょうは原油が急落しており、ドル円も売りが強まる場面も見られたが、下押す動きまでは見られなかった。

 前日のFOMC議事録後に111.50付近まで落とされたが、その下げをほぼ回復している。しかし、きょうのところは112円台にも慎重さが見られている。
 
 ユーロドルは伸び悩んだものの1.12ドル台は堅持している。NY時間の午後になってコンスタンシオECB副総裁の「全体的なリスクはなお下向き」との発言に売りが強まり、1.12割れを試す動きも見られたが、水準は維持している。

 市場では早ければ来年の上半期にも利上げがあるのではとの期待感も出ているようだ。しかし、今週のドラギECB総裁の発言では量的緩和終了の前の利上げに難色を示していた。現在予想されているスケデュール感では、今年の終盤に量的緩和の拡大ペース縮小の計画を示し、実際の実施は来年からが有力だ。ドラギ総裁の発言からすれば、来年の上半期の利上げ開始は時間的に難しいのかもしれない。

 ポンドは軟調な動き。ロンドン時間に発表になった第1四半期のGDP改定値が下方修正されたことで戻り売りが強まってる。個人消費が低迷しており、成長率への寄与度は2014年以降で最小となっている。昨年の英国民投票以降のポンド安に伴う物価高や賃金の伸び鈍化が個人消費を圧迫し始めていることが浮き彫りになった。市場からは年内の回復は難しいとの見方も出ているようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美 

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