11日は英国のスーパーサーズデーとなり、英中銀金融政策会合結果及び議事録の発表、四半期インフレ報告の発表、カーニー中銀総裁の記者会見が行われました。 金融政策は事前見通し通り政策金利が同国にとって史上最低水準である0.25%で現状維持。債券購入プログラムの最大枠も現状の4350億ポンド(すでに到達)で維持されました。 議事録では今回の現状維持が7対1と、前回に続いてフォーブス委員のみの利上げ主張であることが判明。 (なお、ホッグ副総裁が辞任し、中銀からも去ったことで現在委員が8名となっています。) フォーブス氏は6月での退任が決定しており、今後利上げ主張者がいなくなるとの思惑から、ポンド売りが進む展開となりました。 四半期報告では今年の成長見通しを前回(2月)の+2.0%から+1.9%に引き下げしたものの、18年の成長見通しを+1.7%(2月は+1.6%)、19年の成長見通しを1.8%(2月は+1.7%)に上方修正。インフレ見通しに関しては、今年を2.7%(2月は+2.4%)と引き上げたものの、18年のインフレ見通しを+2.6%(2月は+2.8%)、19年を2.2%(2月は+2.5%)と引き上げる結果に。 カーニー総裁は会見において、インフレは今年終盤に2.8%を超える水準でピークに達する、賃金が物価上昇に追い付かず、所得の実質の伸びはマイナスと発言。弱いポンドに関しては、英国の収支に好影響も、家計消費には厳しいと発言しています。政策金利については市場予想よりも早い2019年終盤前に引き上げる可能性に言及しました。 先月28日に発表された英1-3月期GDPは前期比+0.3%と2016年10-12月期の+0.7%から鈍化。予想の+0.4%をも下回り、1年ぶりの低水準となりました。10-12月期はブレグジット後のポンド安が輸出を押し上げ、全体にプラスとなったものの、1-3月期は貿易赤宇が拡大しており、厳しい数字となっています。 こうした状況から、カーニー総裁の慎重な姿勢の維持もおかしくはないところですが、現状でターゲット(消費者物価指数前年比+2.0%)を超える物価動向が気になるところ。英国の消費者物価指数(CPI)は2月分、3月分と前年比+2.3%と2.0%をしっかりと超えてきています。 今週の会見でカーニー総裁は今年終盤に2.8%超という目途を示していますが、英中銀の許容上限3.0%に近い水準であり、今後のインフレ状況次第で見通しを超えてくるようだと何らかの対処が必要かもしれません。 そうした中、来週16日に4月の物価統計が発表されます。もっとも注目度が高いCPI前年比に関しては+2.6%が予想されています。物価を持ち上げている大きな要因の一つであるエネルギーを含め変動の激しい項目を除いたコアでも+2.2%と2%を超えてくるなど、物価はかなり上昇傾向。CPIの前にターゲットとして利用されていた小売物価指数(RPI)のモーゲージを除いたコアは、前年比3.7%が予想されています。 同時に発表される生産者物価指数(PPI)をみると仕入れ側での数字が前年比+17.3%と、3月の+17.9%からは鈍化も、相変わらずの高水準。出荷側(通常のPPI)は、+3.4%と、こちらも3月の+3.6%からは鈍化も高めの数字となっています。 予想前後もしくはそれ以上の数字が出てくると英中銀への利上げ圧力がより強まるとみられ ポンド買いの動きが加速する可能性があります。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
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