きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となり、再び113円台に値を落としている。朝方発表になった4月の米生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことから、114円台に上昇する場面も見られた。ただ、この日の米株式市場で売りが強まっていることから、ドル円も一気に利益確定売りが強まっている。一時113.50を割り込む場面も見られた。 米株式市場の下落については、百貨店の決算が冴えなかったことで個人消費への懸念が強まっていたようだ。ただ、百貨店の場合はeコマースの台頭などで路面販売への客足減少という構造的な問題も含んでおり、それをもって消費全体が弱いとの判断は時期尚早の感もある。 114円台が重かったことや、明日の米消費者物価(CPI)、米小売売上高といった重要指標を控えて、ポジション調整のきっかけになったものと見らる。急速な下げではあったが、上向きのトレンドに変化とまでは言えない。後半には米株式市場も下げを取り戻す動きが見られたことから、ドル円も114円付近まで戻す動きも見られた。 一時113.45付近まで下落していたが、下値サポートとしてはフィボナッチ水準が来ている113.35付近や、その下には100日線が113円ちょうど付近にあり意識されそうだ。 一方、ユーロドルも売りが強まり、強いサポートとして意識された1.0850水準を一時ブレイクしている。仏大統領選明けの月曜日に節目の1.10ドル台を付けて以降、今週のユーロドルは戻り売りが優勢となっている。仏大統領選の結果を受けてファンダメンタルズに意識が戻っており、市場は逆に、米利上げ期待からのドル買い戻しを強めている。 ECBの出口戦略への期待は高まっているものの、当のECBは慎重姿勢を崩しておらず、前日のドラギECB総裁の議会証言でも緩和継続姿勢を強調していた。スピード感からすればFRBのほうが早い。 目先の下値サポートとしては、21日線と200日線が来ている1.0825/30水準が意識される。 一方、ポンドはNY時間に入って下げ渋ったものの、きょうは売りが強まった。英金融政策委員会(MPC)を受けて戻り売りを強めており、ポンド円は一時146円台前半まで下落している。 政策は大方の予想通り据え置かれたが、政策委員の投票行動は7対1と、利上げ主張は前回同様にフォーブス委員のみとなった。声明や、その後のカーニー総裁の会見でも、利上げバイアスは残しているものの、急ぐ気配はないようだ。そして、きょうは四半期インフレ報告も発表されており、インフレ見通しを引き下げている。カーニー総裁は賃金上昇の鈍さも言及していた。 足元は底堅いファンダメンタルズを示しているものの、物価高による個人消費への懸念が根強い。また、今後始まるEU離脱交渉の影響が見えにくい中、市場では英中銀が早期に引き締めに動くのは困難との見方が多い。 ポンド円は10日線が145円台後半に来ており、ポンドドルは21日線が1.28ドル台前半にきている。目先の下値サポートとして意識されそうだ。 みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
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