●パフォーマンス最高は情報技術セクター 4月のS&P500は、様々な懸念や企業利益が材料として浮上する中、市場が企業業績という基本に立ち返ったことを受けて、上昇しました。3月には相場が足踏みし、同指数は0.04%下落しましたが、その後始まった2017年第1四半期決算は全体的に予想よりもはるかに好調となっています。大手企業では業績が予想を下回る企業も〔Goldman(GS)は4月に2.6%下落、International Business Machines(IBM)は同8.0%下落〕、上回る企業もありましたが〔Alphabet(GOOG/L)は同9.2%上昇、Amazon(AMZN)は同4.3%上昇〕、全体的に企業業績は事前予想を大きく上回っただけでなく、ウォール街の投資プロフェッショナルの間でささやかれている非公式な予測(whisper numbers)を上回る企業も数多くありました。 業績のポジティブ・サプライズが地政学的な懸念を圧倒し、S&P500指数は0.91%(配当込みのトータルリターンは1.03%)上昇し、今では政治的変化よりも経済的効果をもたらすと考えられているトランプ・ラリーが持続する結果となりました。同指数の上昇率は年初来では6.49%(配当込みのトータルリターンは7.16%)、2016年11月8日の米大統領選挙以降では11.43%(配当込みのトータルリターンは12.49%)となっています。市場の追い風となったのは所得税改革がスタートしたことです。これにより(預金を通じて)企業口座に資金が増え、その一部が支出に向けられること(さらに、自社株買いと配当を通じて株主に還元されること)が期待されます。 セクター別では、企業決算、ガイダンス、そして事業モデルがセクターのパフォーマンスに影響を与え、リターンのばらつきが拡大しました。4月に月間騰落率がプラスとなったのは11セクターのうち7セクターで、3月の3セクターから増加しました。 パフォーマンスが最低となったのは電気通信サービスセクターで、激しい競争が続く中で契約者数の減少が示されたこと〔Verizon(VZ、4月は5.8%安)、AT&T(T、同4.6%安)〕を背景に4月は4.38%下落し、年初来でも9.22%の下落となっています。エネルギーセクターも原油価格の下落が続いたことで2.93%下落し、年初来では10.02%の下落とパフォーマンスは最低となっていますが、発表されたエネルギー企業の決算によると、業績は改善しつつある模様です。 パフォーマンスが最高となったのは情報技術セクターで、2.44%上昇し、年初来でも14.90%の上昇となって大統領選後から昨年末にかけての横ばいから持ち直しています。決算が予想を上回ったことに加え、大統領選前にトランプ氏に反対する姿勢を示していた多くのハイテク企業に対して、政府は厳しい姿勢を取らないとの見方が支援材料となりました。注目すべきことにApple(AAPL)の株価は、4月は横ばいでしたが、年初来では24.0%上昇しています。 一般消費財セクターは、消費者が支出を拡大しており、税制改革から恩恵を受ける可能性があるとの見方を背景に引き続き好調となり、4月は2.36%上昇し、年初来でも10.64%上昇となっています。ただし、オンライン販売との競争による小売店への圧力は続いています。 銘柄の変動を見ると、値上がりした銘柄数と値下がりした銘柄数の差は3月のマイナスからプラスに戻り、4月は値上がりが280銘柄(平均上昇率は3.99%)と3月の239銘柄(2月は382銘柄)から増加した一方、値下がりは225銘柄(平均下落率は3.74%)と3月の265銘柄(2月は123銘柄)から減少しました。4月は、3月と同様に12銘柄(平均上昇率は13.90%)が10%以上上昇した一方、10%以上下落した銘柄は3月の6銘柄から12銘柄(平均下落率は13.84%)に増加しました。25%以上上昇した銘柄はなく(3月もゼロ)、25%以上下落した銘柄もありませんでした(3月もゼロ)。 年初来では、値上がりした銘柄数が値下がりした銘柄数を大幅に上回っているものの、その差は縮小しています。値上がりした銘柄数が345銘柄で(3月末時点では350銘柄)、そのうち176銘柄(同141銘柄)が10%以上、36銘柄(同20銘柄)が25%以上上昇している一方、下落は159銘柄(同154銘柄)で、そのうち49銘柄(同32銘柄)が10%以上、4銘柄(同4銘柄)が25%以上下落しています。市場のボラティリティは上昇したものの、過去の水準からみれば引き続き非常に落ち着いた水準にとどまりました(必ずしも常にそのように感じられたわけではありませんが)。 出来高は前月比4%減となった3月から2%減少し、引き続き過去1年間の平均を6%、過去5年間の平均を3%下回りました。月中の高値と安値の差で見た変動率は3月の3.39%から4月は2.97%に低下し、過去1年間の平均の3.91%を下回るとともに、過去5年間の平均の5.36%よりも大幅に低い水準となりました。昨年11月8日の大統領選以降では、値上がりした銘柄数が402銘柄、値下がりした銘柄数が103銘柄で、11セクターのうち10セクターが上昇しています(エネルギーセクターは2.26%下落)。 [執筆者] ハワード・シルバーブラット S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス シニア・インデックス・アナリスト ※本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。 SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。 [免責条項] 著作権(C) 2017年 S&Pグローバルの一部門であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC。不許複製、Standard & Poor's、S&P、S&P 500、は、S&Pの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の登録商標です。LATIXX、MEXICO TITANS及びSPCIは、S&Pグローバル一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・フィナンシャル・サービシーズLLC(以下「S&P」)の商標です。「ダウ・ジョーンズ」は、ダウ・ジョーンズ・トレードマーク・ホールディングズLLC(以下「ダウ・ジョーンズ」)の登録商標です。商標は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCにライセンス供与されています。本資料の全体または一部の再配布、複製、そして(または)複写を書面による承諾なしに行うことを禁じます。 株探ニュース
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