S&P500 月例レポート ― 業績ポジティブ・サプライズが地政学リスクを圧倒 (4) ―

配信元:株探
著者:Kabutan
●GMに時価総額迫るテスラ

 金利は、米国の利上げペースの鈍化が予想されたことから低下し、世界の金利は最低水準付近で推移しました。米国10年国債の4月末の利回りは2.28%で、前月末の2.39%から低下し、2016年末の2.45%を下回りました。米国30年国債の4月末の利回りは2.95%で、前月末の3.01%から低下しました(2016年末は3.07%)。外国為替市場をみると、ユーロは3月末の1ユーロ=1.0656ドルから1.0897ドルに上昇し(同1.0520ドル)、英ポンドは1ポンド=1.2548ドルから1.2951ドルに上昇しました(同1.2345ドル)。円は3月末の1ドル=111.39円から111.54円に下落し(同117.00円)、人民元は3月末の1ドル=6.8866元から6.8940元に下落しました(同6.9448元)。

 金は1トロイオンス1269.50ドルで取引を終え、3月末の1251.60ドルを下回りました(同1152.00ドル)。原油価格は生産供給を巡る懸念がくすぶる中、3月末の50.85ドルから下落して49.19ドルで取引を終えました(同53.89ドル)。原油価格は値下がりしたものの、米国のガソリン価格は概ね横ばいで、3月末の1ガロン2.315ドルに対し、4月末は2.449ドルとなりました(同2.309ドル)。VIX恐怖指数は大きく変動したものの、4月末は10.82と、3月末の12.37を下回りました(同14.04)。

 個別銘柄では、自動車メーカーの時価総額レースが続く中、Tesla(TSLA)の時価総額は最近、Ford(F)の457億ドルを上回る512億ドルとなり、General Motors(GM)の532億ドルに迫りました。電気自動車という新たなテクノロジーに基づくTeslaが、長い歴史を誇る既存企業のGeneral MotorsやFordよりも高い予想PERで評価されていることがその背景にあります。アルミ製品メーカーArconic(ARNC)のクラインフェルト最高経営責任者(CEO)は、株主である米大手ヘッジファンドElliott Managementを率いるシンガー氏に書簡を送った後、辞任しました。この書簡は脅迫じみた内容を含んでいたと報じられています。自動車メーカーのGeneral Motors(GM)は、ベネズエラ政府がベネズエラにある同社の工場を接収したことから、同国での操業を停止して従業員2700人をレイオフしました。

 その他の注目すべきニュースとして、4月もソーシャルメディアの力を見せつけられました。United Continental(UAL)の飛行機から乗客が引きずり降ろされた様子を収めた動画が世界中に拡散したうえ、同社が当初、自己弁護の対応をとったことから、同社に対する非難が殺到しました。同社は12日に謝罪の声明を発表して事態の収拾に乗り出し、この乗客との「和解」が成立しました。ともあれ、ソーシャルメディアによる情報拡散のスピードと影響力は特筆すべきものです。サウジアラビアの国営石油会社AramcoのIPOの準備を進めている関係者は、同社の企業価値が2兆ドルを下回り、約1兆5000億ドルになるとの見通しを発表しました(AppleとAlphabetの企業価値は1兆4000億ドル)。

※「業績ポジティブ・サプライズが地政学リスクを圧倒 (5)」に続く。

株探ニュース

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