きょうのNY為替市場でドル円は113円台に上昇している。ロンドン時間には一時112.40近辺まで値を落としていたが、NY時間に入って買い戻しが優勢になった。米国債利回りが上昇しており、このところ急速に売りが強まっている原油も下げ渋ったことがフォローとなった模様。 きょうは円売りというよりもむしろ、ドル買いに伴う上昇といった雰囲気だ。日曜日の仏大統領選では市場の期待通りにマクロン氏が勝利し市場に安心感を与えた。ただ、先週の段階でかなり織り込んでおり、ユーロが強い展開を見せていたが、きょうは逆に材料出尽くし感から利益確定売りがユーロに入っており、相対的なドル買いがドル円をサポートしている。 ドル円はしっかりとリバウンドの流れを堅持している。先週の4月の米雇用統計が強い内容で、FOMC声明で指摘されていた第1四半期の減速は一過性との見方を裏付ける内容となった。CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは6月の利上げ確率が83%まで上昇しており、ほぼ確実視している状況。 政治的、地政学的リスクが一服する中、市場の関心はファンダメンタルズに戻りつつあり、しばらくは米利上げ期待がドル円をサポートすると見ているようだ。 昨年12月から4月までの下降派のフィボナッチ38.2%戻しの水準が112.15円付近にある。先週は原油急落でその付近まで一時下落していたが、しっかりとサポートされている格好。方程式通りであれば、50%戻しの113.35円まで上昇する可能性があり、目先の上値目標として意識される。 一方、ユーロは利益確定売りが優勢。ユーロドルは1.09ドル台前半、ユーロ円は一時123円を割り込む場面も見られた。仏大統領選の1回目の投票以降、ユーロのショートカバーがかなり活発に出ていたようだ。先週末に発表されたIMM投機筋のユーロの建玉を見ると、ユーロの売り越しは1万9242枚減少して1653枚まで急速に縮小している。早ければ来週のデータで買い越しに転じそうな勢いだが、もし、買い越しに転じれば2014年5月以来約3年ぶりになる。一旦ポジションが転じるとしばらく続くことも多く、ユーロ高が期待されることにもなるが、果たしてどうであろうか。 ファンダメンタルズ的には直近のユーロ圏の指標は改善の兆しを示しており、市場では6月8日のECB理事会で、出口戦略に向かってガイダンス変更のも期待されている。ちなみにその日は英国の総選挙が予定。また、翌週にFOMCが控えており、利上げがほぼ確実視されている状況。 ECBはあくまでガイダンスを変更するだけで実際の行動は年末から来年にかけてで米欧の金融政策のスピード感の違いは明らか。ただし、これまでの長期に渡るユーロ安・ドル高で、その辺は既に織り込まれている面もある。 何とも言えないところではあるが、少なくとも日銀との差は広がりそうだ。 みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
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