きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りに押され、一時111円を割り込む場面もみられた。この日発表の米雇用統計を受けて為替市場はドル売りの反応を示している。非農業部門雇用者数(NFP)は85.0万人と予想を上回った。平均時給も前年比3.6%に上昇。ただ、失業率は5.9%に悪化し、労働参加率も61.6%と依然として低い水準が続いている。 今回の米雇用統計について市場からは、雇用改善は示しているものの、FRBのタカ派スタンスが強化されることを示す内容ではないとの見方も出ている。また、現段階の米雇用統計は、企業の労働者に対する需要というよりも、労働者の雇用される意欲を示している面が大きく、FRBは労働市場の供給側に対する影響は無力であるため、分析の対象ではない。よって、金融政策を占う上での重要性はかなり低いという。本日の米雇用統計で、FRBがスタンスを変える可能性のあるものは何もなく、資産購入ペース縮小が9月に発表されるとの予想は維持するものの、時期は遅れるリスクがあると指摘している。 ユーロドルは下げ渋る動き。本日は一時1.18ドル台前半まで下落していたが、米雇用統計を受けて1.18ドル台後半まで戻している。ただ、買い戻しの勢いが強まっている印象はなく、依然として上値は重い。 先日のFOMCを受けて年末のユーロドルの見通しを下方修正たものの、それでも1.22ドルと現行よりも高い水準を見込んでいる向きもいる。今後の経済指標はユーロ圏の景気回復の兆しを強める可能性が高いという。ECBは9月の会合でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を縮小する可能性がある。しかし、ECBのプログラム縮小は緩やかなものになるという。また、EU復興基金などの刺激策が今年下半期にユーロに適度な上昇をもたらすとしている。 ポンドドルも買い戻しが優勢。米雇用統計発表直後に1.37ドル台前半まで下落する場面がみられたが、1.38ドル台まで買い戻されている。ただ、前日のベイリー英中銀総裁のインフレ懸念を軽視した発言で、市場は英中銀の引き締め期待をさらに後退させており、ポンドの上値はさらに重くなっている。総裁は「時期尚早の引き締めによって景気回復が損なわれないようにするために、政策立案者は一時的な力強い成長とインフレに過剰反応しないことが重要」と述べていた。 市場は6月下旬に高まっていたタカ派期待を後退させ、それと伴にポンドも水準の修正を余儀なくされている。当初は2022年5月に0.1%の利上げ開始期待を高めていたが、その期待も後退しているようだ。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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