NY時間の終盤に入ってドル円は110円台を維持している。さらに買い戻しを強める動きまではないが、ひとまず110円台は維持して今週を終えそうな気配も出ている。 きょうのNY為替市場でドル円は買い戻しが優勢となり110円台を回復。本日の市場は全体的にここ数日のリスク回避の雰囲気が一服。米国債利回りや原油相場が上昇しているほか、前日に売りが強まった米株式市場も買い戻しが強まっている。そのような中でドル円にも買い戻しが出ているようだ。本日の21日線が110.55円付近に来ており、目先の戻りメドとして意識される。ただ、前日の急激な下げでロング勢も慎重になっているほか、テクニカル勢も下値サインが点灯しているものと思われ、21日線に接近すると戻り売りオーダーも多数観測されているようだ。 パウエルFRB議長が来週の7月15日に上院銀行委員会で証言を予定しているが、それに向けてFRBが金融政策報告を議会提出しており、「インフレ見通しは上方向のリスクが拡大した」と報告した。この報道を受けて、日本時間0時のロンドンフィキシングにかけてドル買い戻しの動きも見られ、一旦109円台に伸び悩んでいたドル円も110円台まで戻す動きもみられた。 その報告では、緩和的な金融政策と財政政策に支えられる中で、ワクチン接種の進展と経済再開が米経済に力強い回復をもたらしたが、パンデミックの影響は米経済に引き続き悪影響を及ぼし続けており、雇用はパンデミック前の水準をはるかに下回っているとしいる。直近のパウエルFRB議長の発言を踏襲した内容ではある。 ユーロドルも買い戻しが優勢となり、1.18ドル台後半まで値を戻した。前日は1.17ドル台まで下落していたが、再びサポートされた格好。1.17ドル台に入ると買いオーダーも出るようだ。 ECBは前日発表した戦略見直しで、インフレ目標を上下に幅を持たせるシメントリックな2%の中期インフレ目標に変更した。ただ市場からは、その目標達成についてはECBの金融政策よりもむしろ、EUの財政政策にかかっているとの指摘も聞かれる。政策金利はすでに下限に達しており、ECBのバランスシートも限界付近まで拡大している。ECBの政策だけでは、インフレを2%に押し上げることはできないという。ユーロ圏の正常化は米国や英国よりもかなり遅れると見られており、ユーロ圏のインフレが持続的に2%に向かって上昇し、ECBが緩和政策から脱却できるかどうかは、ユーロ圏の財政規律と政策スタンスがどの程度変化するかによって決まるという。インフレについては、フランクフルトよりもむしろ、ベルリンやパリ、ブリュッセルにかかっていると指摘している。 ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.38ドル台後半まで買い戻されている。いまのところ1.37ドル台に入ると買いオーダーも出るようだ。本日の21日線が1.39ドルちょうど付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。ただ、今週の動きで下値警戒感も強まっている中、1.39ドル付近に接近すると売り圧力も控えている模様。 ただ、ポンドに強気な見方も出ている。市場が、英中銀の金融緩和策からの撤退を予想し始めているため、ポンドはG10通貨の中でトップピックだという。早期かつより積極的な英中銀の引き締めがポンドを押し上げると予想しているという。第3四半期のポンドドルは1.40ドルに上昇すると予想しているようだ。英中銀の次の英中銀金融政策委員会(MPC)は8月5日に予定。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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