ドル円は再び109円台に値を落とす 米10年債が一時1.3%割れ=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、終盤になってドル円は戻り売りが優勢となり、再び109円台に値を落とした。後半になって米国債利回りが下げ幅を拡大し、米10年債が1.3%を割り込む中でドル円も110円台を維持できずにいる。

 前日のパウエルFRB議長の下院での議会証言が慎重姿勢を滲ませていたが、きょうも議長の証言が上院で行われていた。前日同様に「資産購入ペース縮小の開始にはまだ道のりがある」と述べていたほか、「インフレが一時的か持続的かを監視。暫定的なインフレ上昇に対応するのは理に適わない。今回のインフレは歴史的に固有のもの」ともコメントしている。インフレに関しては不快ではあるものの、雇用が依然としてパンデミック前の水準から大きく下方乖離している中で、慎重姿勢を強調している。市場の一部からはFRBは一時的インフレの定義をこれまでの2-3カ月から6-9カ月に伸ばしたのではとの見方も出ていた。そのため、FRBの慎重姿勢は予想以上に長引くと見ているようだ。

 明日は日銀決定会合の結果が発表される。政策変更はないことが確実視されているが、感染が再び拡大しており、東京に4回目の緊急事態宣言が出されたことなどを踏まえ、GDP見通しは下方修正するとみられている。

 100日線が109.35円付近に来ているが、目先の上下の下値メドとして意識されそうだ。

 ユーロドルは戻り売りに押され、一時1.18ドルちょうど付近まで値を落とした。1.18ドル台はサポートされているものの、依然として上値の重い展開が続いている。ECBは行動を起こす前に多くのデータを待つ可能性があるとの見方も一部から出ている。秋に重要な決定が下されると思われるが、より緩和的な方向に進行方向を傾けるのは明らかだという。

 また、戦略見直し後の初の今月の理事会では、よりハト派のフォワードガイダンスで合意し、慎重な移行の確約が予想され、決定は秋以降になるだろうとも指摘した。デルタ株の感染拡大の症例が増加し、経済指標も強弱が混在していることから、12月まで資産購入ペース縮小は見込まれないという。秋以降の理事会では通常の資産購入プログラム(APP)が拡大され、より柔軟性を持たせる一方で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)はスケジュール通りに終了することが見込まれるとの見方も示した。

 ポンドドルは戻り売りが優勢となり1.38ドル台前半に下落。ロンドン時間にサンダース英中銀委員の発言が伝わり、ポンド買いが強まる場面がみられた。ポンドドルは1.39ドルちょうど付近まで一時上昇。同委員は、インフレ抑制のために債券購入プログラムを早期に終了する可能性に言及した。次回かその次の金融政策委員会(MPC)で検討する可能性もあるという。同委員はこれまでハト派な印象が強い委員だっただけに、市場も驚きをもって受け止めたようだ。

 前回の英中銀金融政策委員会(MPC)ではホールデン委員が資産購入の縮小を主張し、反対票を投じていたが、次回のMPCからは、タカ派委員が少なくとも2名以上になる可能性もありそうだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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