ウクライナ情勢の緊迫化でリスク回避のドル高・円高=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、後半になってリスク回避の雰囲気が広がり、ドル高・円高が強まった。ドル円も急速に売りが強まり115円台前半に急落。

 ウクライナ情勢の緊迫化を示すニュースが流れた。ホワイトハウスのサリバン国家安全保障顧問が、ロシアは早ければオリンピック期間中にもウクライナ国内で軍事行動を起こしたり、紛争を引き起こそうとしたりする可能性があると述べた。また、英政府が英国人に対し、ウクライナへのすべての渡航を控えるよう勧告したほか、現在、ウクライナに滞在している英国人は、商業的手段が利用できるうちに今すぐの退避も勧告した。明日、米ロ首脳が電話会談を行う予定で注目される。

 一方、ファンダメンタルズでは、前日の米消費者物価指数(CPI)やブラード・セントルイス連銀総裁のタカ派な発言などで、市場は3月FOMCは0.5%の大幅利上げになると予想している。市場では年内に1.75%ー2.00%までFRBは政策金利を引き上げるとの予想も出ている状況。0.25%ずつの利上げと仮定すれば、次回3月以降、年内は毎回FOMCで利上げを行うことを意味し、計7回の利上げとなる。

 しかし、市場からは、FRBはそれほど急激ではなく、より段階的な利上げにしたいと考えているとの指摘も出ている。これまでのFOMCメンバーからの発言で感じられるという。ただ、今回の7.5%という数字はFRBにとっては懸念材料であることに間違いはなく、FOMCメンバーが市場のプライシングに反発するのは難しい面もあるという。

 前日にブラード総裁はタカ派な発言をしていたが、来週以降、FOMCメンバーがどう考えているのか、発言などは要チェックかもしれない。

 ユーロドルも後半に売りが加速し、1.14ドル台から、一時1.1330ドル近辺に一気に下落した。ウクライナ情勢が緊迫化した場合、舞台は欧州が中心となることから、ユーロは売られやすい。

 本日はラガルドECB総裁のインタビューが伝わっていた。総裁はドイツのメディアとのインタビューで、金融引き締めを急ぎ過ぎれば新型ウイルスからの経済回復を損ねかねないと警鐘を鳴らした。そのうえで、利上げは現在の問題をいずれも解決するものではないとも語っている。

 市場からは、ラガルド総裁は「早過ぎる行動は回復を阻害するが、全く行動しないのもまた、経済を阻害すると主張している」との見方も出ていた。ただ、ユーロ圏のインフレが今後、耐え難いものになり、ECBが行動を起こす可能性は十分にある。そのためユーロドルは上昇するだろうとの指摘も出ている。

 ポンドドルも1.36ドルちょうど付近から1.35ドル台半ばに下落。

 英中銀の利上げ期待が高まっており、市場は3月の0.5%の大幅利上げへの期待を高めている。本日の21日線が1.3540ドル付近に来ているが、その水準は堅持している状況。

 英中銀は23年に向けてインフレに悩まされることになりそうだとの声も聞かれる。英国でのインフレは引き続きサプライズがあると見ており、23年に向けて5%以上が続くことが予想されるという。英中銀のインフレ目標は2%。

 足元はエネルギー価格の高騰が話題になっているが、この先は食品と電気通信が物価上昇の原動力になる可能性が高いと指摘。英インフレは2023年まで頑強に高いままだが、ユーロ圏は今年末には目標値に達するか、それに近い水準になることが予想され、対ユーロでのポンド高を見込んでいるようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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