為替相場まとめ2月7日から2月11日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 7日からの週は、米利上げ観測が一段と高まった。1月米消費者物価指数が前年比+7.5%と約40年ぶりの高水準となったことが背景。米10年債利回りは2%超へと上昇、ドル買いの反応がみられた。3月FOMCについて、短期金融市場では0.5%幅の利上げをほぼ完全に織り込んだ。また、市場では年内7回利上げの見通しが広がった。ただ、ドル指数の反発は前週の低下を戻すには至らず限定的な動き。通貨ごとにドル買いの動きがまちまちなことが影響した。ドル円は116円台をつけた。週明け14日に日銀が無制限で10年国債0.25%指し値オペを実施すると発表されており、緩和姿勢の継続が示された。ユーロドルは1.14台を中心に時折1.13台に入る動き。3月ECB理事会でのインフレに関する判断が待たれるところだ。ポンドドルは1.35台を中心に、一時1.36台に乗せる動き。賃金上昇によるインフレ高進の動きが警戒されており、追加利上げ観測が根強かった。豪ドル/ドルは0.71台から0.72台での振幅。豪中銀総裁はインフレ高進は一時的との見方を崩さず、慎重な姿勢を示していた。週末にかけてはロシアのウクライナ侵攻の可能性が高まっているとの報道で、リスク回避の動きが加わった。


(7日)
 東京市場は、小動き。ドル円は先週末の米雇用統計の好結果を受けたドル高の水準を踏襲しての取引。朝方の115.40付近からはやや調整されて115.10台まで軟化したあとは、115円台前半での揉み合いとなった。ユーロ円は132円ちょうど前後での推移と先週末からの高値圏での揉み合い。ユーロドルは1.1430付近とやや上値重く推移。ただ、先週木曜日のECB理事会後の年内利上げ期待を受けて先週来の高値圏を維持した。

 ロンドン市場は、円買いの動きが優勢。週明けは特段の注目経済指標発表の予定はなく、材料難。先週後半の英MPC、ECB理事会、米雇用統計などのイベントを通過。いずれもタカ派方向の金融政策を支持すしたことで、株式市場には警戒感が残っている。欧州株や米株先物が上値重く推移し、リスク警戒の円買いが優勢。ドル円は115.40近辺で上値を抑えられると114.92レベルまで下押しされた。ユーロ円は132円付近で上値を抑えられると131.26レベルまで一時下落。ポンド円は156円台割れから155.14レベルまで下落。ユーロ対ポンドの取引では、ユーロ買いが優勢。先週のECBのタカ派転換示唆のインパクトが英MPCの追加利上げに勝ったことでポジションの巻き返しが誘発された。ユーロドルが1.14台前半から半ばへと底堅い一方で、ポンドドルは1.35台半ばから一時1.34台へと軟化した。

 NY市場では値動きが一服。円高がやや圧迫も全体的には様子見ムードだった。ドル円は一時114円台に下落する場面があったが、下押しは限定的で115円台へと戻した。ドルには買い戻しがでているが、円高の動きがドル円の上値を抑えた。10年物日本国債利回りが一時0.20%を超え6年ぶりの高水準に上昇したことが話題になっていた。ユーロドルは先週の上げを一服させ、1.1440付近で推移した。100日線1.1425レベルが下値サポート。ラガルドECB総裁はこの日、ECBは資産購入終了前に利上げしない、早まった結論を急ぐ必要はない、などと述べており、市場の早期利上げ観測をけん制していた。ポンドドルは一時1.34台に下落したが、その後は1.35台へと下げ渋った。英中銀は年内に1%まで利上げすることが市場で見込まれている。ただ、インフレ上昇は4月にはピークを迎えるとの観測もあり、1%超の金利水準は難しいとの見方があった。

(8日)
 東京市場は、ドル買いが優勢。米10年債利回りが1.95%付近に上昇するなかで、ドル円は115円ちょうど付近から115.50レベルに迫る動きをみせた。ユーロドルは午前中に1.1449レベルまで一時上昇したが、その後は1.1410台へと反落。ポンドドルは1.3530台から1.3510台へと小安い動き。先週末の米雇用統計の好結果を受けて、3月FOMC会合で一気に0.5%の利上げを行うのではとの観測が再び高まっていた。市場の織り込み度は3割程度となっている。ユーロ円は132円台をつけたあとは、調整に押し戻され131.80台での推移に。

 ロンドン市場は、ドル買いが一服。序盤はドル円が115.55レベルまで一段高、ユーロドルが1.14台割れ水準まで下押しとドル買いの動き。米10年債利回りが1.955%近辺に上昇する動きに反応した。ユーロ円やユーロポンドも下落し、ユーロ売りの面もあった。前日のラガルドECB総裁の発言ではインフレ警戒を示しつつも、景気過熱の兆しはみられない、インフレ率は22年に低下するとかなり確信、政策調整の場合は段階的に、などと慎重トーンを織り交ぜた。3月の経済見通しが政策調整にとって重要との見方も繰り返されており、現状では判断保留といったところのようだ。取引中盤にかけてはドル買いは一服。ドル円は115.20台、ユーロドルは1.1430近辺まで戻した。序盤に0.8410台まで下落したユーロポンドも0.8430台へと下げ渋り。ポンドドルは1.3510近辺まで下げたあとは1.3560近辺へと高値を伸ばしている。ドル指数の上昇も一巡しており、前日並みの水準で推移している。

 NY市場では、ややドル買いの動き。ドル円は一時115.60台まで買われ、その後も115.50付近に高止まりした。日本の長期国債利回りが0.21%まで上昇しており、日銀が0.25%をめどに指値オペなどを実施するのかどうかが注目されていた。日本でもインフレ警戒がでてきているが、欧米との比較では水準がはるかに低く、円高リスクは小さいとの見方があった。ユーロドルは下げ一服。ロンドン序盤に1.14台割れとなる場面があったが、その後すぐに1.14台に戻している。NY時間には1.1410-20を中心に揉み合った。先週のECB理事会後のユーロ買いは一服してきているが、1.14台割れでは買いが入るなど、ユーロ買い圧力も根強い状況。ポンドドルは1.35台前半から半ばにかけての上下動。ユーロドルと同様にリバウンド相場の流れにはあるものの、先週末以降は上昇が一服。次の展開待ちとなっている。

(9日)
 東京市場では、ドル円が振幅。米債利回りの上昇を背景に朝方には115.68レベルまで上伸。しかし、東京時間に入ると米10年債利回りは1.97%から1.93%台まで低下。ドル高には調整が入り、昼前には115.32レベルまで反落した。午後には115.40台に落ち着いた。ユーロ円は朝方の132円付近の高値水準から、131.70台へと値を落とした。その後は131.90前後に落ち着いた。ユーロドルは1.1410台から1.1430台まで小高く推移。先日の米株高を受けて日経平均が堅調に推移し、ドル円やクロス円の下支えとなっていた。

 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。序盤にドル買いの動きをみせたあとは、欧州株が堅調に推移するなかでドル売りの動きに転じた。ユーロドルは1.1403レベルまで下押しされたあと、1.1445レベルまで上昇。ポンドドルも1.3538レベルまでの下落後は1.3589レベルに上伸。豪ドル/ドルは0.7150割れのあと、0.7180台へと高値を伸ばしてきている。クロス円も朝方は円高の動きだったが、欧州株高とともに円安方向へと切り返している。ユーロ円は131.60台から132円台乗せへ、ポンド円は156.30近辺から156.80台へと上昇。ただ、ドル指数は前日の上昇を戻す動きにとどまっており、全般的には明日の米消費者物価指数を控えた調整にとどまった。ドル円は115.30台から115.50台での揉み合いが続いた。ナーゲル独連銀総裁は、3月までにインフレ状況に変化がなければ、金融政策の正常化を提唱へ、とタカ派の発言。ただ、前日のラガルドECB総裁の慎重な発言の後でユーロ自体の買いは目立たなかった。カギは3月理事会でのインフレ見通しとなりそうだ。

 NY市場は、小動き。明日の米消費者物価指数を控えてポジション調整が中心となった。ドル円は115円台半ばでの振幅を続け、上にも下にも動かず。ユーロドルは1.14台前半の狭いレンジ取引が続いた。ポンドドルは1.35台後半から前半へと反落し、ロンドン午前の上昇を戻した。本日のピル英中銀チーフエコノミストの発言は慎重だった。金融政策に慎重なアプローチを求め、異常に大幅な引き締めに踏み切ることに懸念を示していた。ただ、3月の大幅利上げに関して否定はしなかった。全般的には明日の米消費者物価指数待ちのムードが広がっており、方向性に欠ける取引が続いていた。

(10日)
 東京市場では、総じて小動き。NY時間に発表される米消費者物価指数を控えて様子見ムードが広がった。ドル円は早朝に115.30台へと下押しされたが、その後はしっかりとした値動きを示している。売買が交錯するも、午後には115.70付近に高値を伸ばした。ユーロドルは1.1410台から1.1430台での値動きにとどまった。日経平均は買いが先行したあと、午後には上げ幅を縮小、小幅上昇で引けた。米10年債利回りは1.92-1.94%台での限定的な動きだった。

 ロンドン市場は、ドル売りと円売りの動き。朝方からドル売りが先行。ポンドドルは1.35台前半から後半へ、ユーロドルは1.14台前半から半ば付近へと上昇。この動きとともに、ポンド円やユーロ円もやや水準を上げた。欧州株や米株先物は米消費者物価指数の発表待ちで小動きではあるが、底堅さもあって安定した推移となっている。この局面ではドル円は115.60付近で売買が交錯していた。そこに日銀が14日に10年国債の指値オペを無制限で実施すると発表、0.25%で長期債利回りの上昇を食い止める措置が示された。市場は一気に円売りに傾き、ドル円は115.88レベルと、1月7日以来の高値水準まで上伸した。クロス円も一段高。ポンド円は157円台乗せ、ユーロ円は132.60近辺へと高値を伸ばした。ユーロは対ポンドでは軟調。レーン・フィンランド中銀総裁は、金融政策の正常化は段階的に一歩ずつ進めるのが良いと、やや慎重な発言。EU経済見通しでは今年の成長見通しが引き下げられ、インフレ見通しは引き上げられた。一方、来年は成長見通し引き上げとともに、インフレがECB目標2%を下回る見通しが示された。インフレとエネルギー価格の大幅上昇は、供給や労働市場のボトルネックとともに成長を抑制、東欧の地政学的な緊張に見通しがより著しく悪化、などとしていた。

 NY市場では、ドル相場が激しく振幅した。注目の1月米消費者物価指数(CPI)が前年比+7.5%と約40年ぶりの高い伸びとなり、予想も上回った。米利上げ期待が一層強まり、為替市場ではドル買いの反応を強めた。ドル円は一時116.35レベルまで上昇し、年初の高値に顔合わせした。ユーロドルは1.1375近辺まで一時下落。しかし、しばらくしてからドル売りが優勢となった。米CPI後のドル高を消して一気にドル売りが加速。ドル円は115.70台まで下落、ユーロドルは1.15手前水準まで買われた。午後にはタカ派の急先鋒となっているブラード・セントルイス連銀総裁が、「0.5%の大幅利上げと、7月1日までの1%までの政策金利引き上げを支持する」と述べた。株安。ドル安とともにドル円は再び116円台に上昇、ユーロドルは1.14近辺に下落した。クロス円は序盤の上げを消す動きとなった。米10年債利回りは2%を超え、ダウ平均は500ドル超安で引けた。3月FOMCでの50bp利上げの織り込み度は9割を上回っている。

(11日)
 東京市場は建国記念日のため休場。

 ロンドン市場は、円相場が底堅い。前日の米消費者物価指数が予想以上に上昇したことで、インフレ抑制のために米金融当局が利上げを急ぐとの見方が広がった。市場では3月FOMCでの0.5%利上げ織り込み度が9割を超えている。また、年内7回の利上げとの見方もでてきていた。そのようななかで、株式市場は売り圧力に押されている。欧州株は米株先物とともにマイナス圏で推移している。為替市場ではリスク警戒の円買い圧力がみられた。ドル円は一時116円台割れ、ユーロ円は一時132円台割れ、ポンド円は157円台割れまで下押しされた。その後は、円買い一服となっているが、戻りは鈍く円相場は底堅い。個別ではポンドの反発がやや目立っている。この日発表された英月次GDPは予想ほどは落ち込まず、四半期GDPは前期並みの上昇を維持。2021年通年では7.5%成長と80年ぶりの高い伸びだった。

 NY市場は後半になってリスク回避の雰囲気が強まり、ドル高・円高が強まった。ドル円も急速に売りが強り、115円台前半に急落。ウクライナ情勢の緊迫化を示すニュースが流れた。ホワイトハウスのサリバン国家安全保障顧問が、ロシアは早ければオリンピック期間中にもウクライナ国内で軍事行動を起こしたり、紛争を引き起こそうとしたりする可能性があると述べた。また、英政府が英国人に対し、ウクライナへのすべての渡航を控えるよう勧告したほか、現在、ウクライナに滞在している英国人は、商業的手段が利用できるうちに今すぐの退避も勧告した。

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MINKABU PRESS

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