「外部環境は不透明ながら相対的に底堅い展開、ややロングを意識したポジションに」 今週の日経225先物は、インフレ懸念の強まる米国市場の不安定な値動きを警戒しつつも、相対的に底堅さが意識される相場展開に期待したいところだ。大型連休が明け、市場参加者は増えると見られるが、今週は決算発表が集中することもあって積極的にはポジションを傾けづらいとみられる。週間では2400社を超える企業が決算発表を予定しており、13日には1200社を超えピークを迎える。基本的には決算発表の集中期間を通過するまでは機関投資家の資金流入は期待しづらく、ヘッジファンドなど短期筋による商いに振られやすい需給状況であろう。 また、米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)での予想通りの金融政策引き締めを受けて、いったんはアク抜け的な動きを見せた。しかし、これはFOMC前のヘッジを一気に外した影響と見られ、その後はインフレの高止まり懸念に加えて、米労働生産性指数の大幅低下や米長期金利の上昇が相場の重荷となり、売り直された格好だった。6日に発表された4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比42万8000人増と、40万人程度の増加を見込んでいた市場予想をやや上回った。ただし、労働参加率は低下し、企業は一段と賃上げを迫られる可能性がある。 6日の米国市場では、雇用環境の改善を踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを加速させる内容と受け止められたようだ。また、米国では11日に4月の消費者物価指数(CPI)、12日に4月の卸売物価指数(PPI)の発表が予定されている。パウエルFRB議長はFOMC声明で、0.75%の利上げは積極的な議論をしていないと言及した。ただし、CPIなどでインフレの高止まりが確認された場合には、より速いペースでの引き締めが必要となるとの見方が金利のさらなる上昇につながり、これが米国市場の売り圧力となる可能性がある。 一方、国内に目を移すと日銀が金融緩和を粘り強く続けるなか、日米金利差の拡大を背景に円安・ドル高基調が継続。また、岸田首相は約2000兆円の個人資産を投資に振り向けることで、「資産所得倍増プラン」を推進すると表明した。アベノミクス時のようなインパクトをもたらすかは不透明だが、6月には他のG7(主要7カ国)諸国並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を更に緩和するとの考えを示すなか、海外勢による資金流入が高まる可能性がある。先進国のなかで出遅れていた経済活動の正常化が見込まれる日本への注目度は高まることになろう。 日経225先物はテクニカル面では5日、75日移動平均線が位置する2万6800円近辺が支持線として意識される半面、25日線が位置する2万7100円辺りに上値を抑えられている。決算が集中するため大きなトレンドは出にくいものの、支持線を割り込んで調整が強まる局面では、押し目狙いのロングの動きを想定しておきたい。ショートからはスキャルピング中心での売買とし、スタンスとしてはややロングを意識したポジションに向かわせよう。 6日のVIX指数は一時35.34まで上昇する場面も見られたが、その後は30.19に低下した。25日、75日線を支持線としたリバウンド形状ではあるが、35.00辺りが抵抗線として意識されてきており、終値でこの水準を上回るまでは、リスクオフの動きはそれほど強まらないだろう。 NT倍率は先物中心限月で低下傾向が続いており、ナスダックが年初来安値を更新するなかではTOPIX型の優位が意識されやすい。このため、NTショート(日経225先物売り・TOPIX先物買い)の動きが続きそうだが、14.00倍に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングも狙いたいところだろう。 経済スケジュールでは、9日に中国4月貿易収支、米国3月卸売売上高、10日に3月全世帯家計調査、11日に3月景気動向指数、中国4月消費者物価指数、中国4月生産者物価指数、米国4月消費者物価指数、12日に4月景気ウォッチャー調査、米国4月卸売物価指数、13日に米国4月輸入物価指数、米国5月ミシガン大学消費者態度指数が予定されている。 ――プレイバック・マーケット―― ●SQ値 01月限 日経225 28266.57 TOPIX 1988.69 02月限 日経225 27835.60 TOPIX 1965.67 03月限 日経225 25457.94 TOPIX 1808.03 04月限 日経225 27122.37 TOPIX 1904.02 ◆日経225先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 22/06 05月06日 26900 27110 26540 27110 +300 22/06 05月02日 26990 27380 26600 26810 -60 22/06 04月28日 26230 26880 26180 26870 +480 ◇TOPIX先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 22/06 05月06日 1902.0 1919.5 1881.0 1919.5 +23.5 22/06 05月02日 1912.0 1939.0 1886.0 1896.0 -7.0 22/06 04月28日 1852.5 1903.0 1848.0 1903.0 +42.0 ●シカゴ日経平均 円建て 清算値 前日比 05月06日(06月限) 26885 -225 05月05日(06月限) 26735 -75 05月04日(06月限) 27425 +615 05月03日(06月限) 27065 +255 05月02日(06月限) 26860 +50 04月29日(06月限) 26730 -140 ※前日比は大阪取引所終値比 □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額) 売り 前週末比 買い 前週末比 04月22日 2603億円 +53億円 7636億円 -332億円 04月15日 2549億円 -298億円 7969億円 -873億円 04月08日 2848億円 -226億円 8842億円 -2056億円 04月01日 3074億円 +560億円 1兆0899億円 -2338億円 03月25日 2514億円 +136億円 1兆3237億円 +1692億円 03月18日 2378億円 +317億円 1兆1545億円 +2178億円 03月11日 2060億円 +2018億円 9366億円 +4736億円 □裁定取引に係る現物ポジション(株数) 売り 前日比 買い 前日比 04月28日 8554万株 +1662万株 2億6622万株 +596万株 04月27日 6892万株 -919万株 2億6026万株 -1244万株 04月26日 7811万株 -38万株 2億7271万株 -539万株 04月25日 7850万株 +151万株 2億7810万株 -309万株 04月22日 7699万株 +26万株 2億8120万株 -1093万株 04月21日 7672万株 -68万株 2億9214万株 +457万株 04月20日 7741万株 +82万株 2億8756万株 +782万株 04月19日 7658万株 -57万株 2億7974万株 -310万株 04月18日 7716万株 +440万株 2億8285万株 -1008万株 04月15日 7275万株 -68万株 2億9294万株 +898万株 04月14日 7344万株 -425万株 2億8395万株 -1084万株 04月13日 7770万株 -373万株 2億9479万株 +449万株 04月12日 8143万株 -697万株 2億9030万株 -2311万株 04月11日 8840万株 +676万株 3億1341万株 -1383万株 ■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分) 【2022年】 1月14日 701億円 1月25日 701億円 2月14日 701億円 3月07日 701億円 4月07日 701億円 株探ニュース
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