<金> NY金12月限は11月13日に1937.7ドルで取引を終えた後は浮上し21日 に2009.8ドルまで浮上。その後、2001.6ドルと7月31日以来となる終値 ベースで2000ドル台を記録。翌22日に軟化に転じたが、1990ドル台は維持 し、堅調に推移している。 14日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)を受けて連邦準備理事会 (FRB)による利上げ終了観測が強まったことが価格上昇の背景となった。 20日以降に発表された米経済指標は10月中古住宅販売件数が前月から大幅な落ち 込みを見せ、米追加利上げを受けた住宅ローン上昇の影響をうかがわせた。10月耐久 財受注の前月比も前回の+4.0%から−5.4%への大幅な低下を記録している。 また、これまでの追加利上げの中で利払い支出が増加し、米国の財政悪化が警戒され るなか、安全な投資先としての金需要も根強くなっていると見られる。 インフレ低下の傾向や米財政悪化に対する警戒感が強まるなかで、SPDRの金ET F残高も増加に転じており、11月22日時点では882.28トンを記録。11月1 日時点では861.51トンだったため、11月に入ってから20トンを上回る増加と なった。 公開された公開市場委員会(FOMC)議事録では、大半の参加者がインフレに上振 れリスクがあると見ていたことやインフレの状況次第ではさらなる引き締めを検討する ことが明らかとなるなど、タカ派な姿勢が示された。NY金12月限は2000ドル台 の節目に達したことで目先の買い一巡感が強まっている。インフレ緩和傾向に下値を支 えられる一方、目先の上げ余地は限られることになりそうだ。 28日以降は米住宅関連、個人消費関連の経済指標の発表があるが、住宅需要の低下 や個人消費意欲の鈍化を示唆する内容の発表となればインフレ鈍化、米利上げ終了観測 が一段と強まり、金価格が押し上げられれる可能性がある。 <銀> NY銀12月限は14日以降に大きく値位置を切り上げて17日に2456セントを 記録したが、その後は上げ一服感が強まり2400セントを下値支持線としたもちあい が続いている。 金と連動する動きが続いているが、安全な投資先としての役割がある金に比べると、 米経済に弱気な内容が見受けられる状況下では銀の上値は重いと見られる。2450セ ントを上値抵抗線にしてのもちあい継続か。 <白金> NY白金1月以降はNY金に追随高となったが、940ドル台と急落前の水準に達し たところで上げ一服感を強めている。 米国の弱気な経済指標の発表は、追加利上げ観測を後退させ白金市場においても強気 材料となる一方、消費活動や生産活動の鈍化は工業用としての白金需要の後退を連想さ せる。 NY金がインフレ緩和傾向の強まりに支えられて高もみとなる可能性があるだけに、 NY白金の下値も堅いと予想。ただし940ドルを大きく超えてくるインパクトをもた らす独自材料に欠けるため、NY金の上昇が無ければ現在の水準での高下が続くことに なるとみる。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は他貴金属の動きに追随し13日に底を打って浮上に転じた が、1100ドルに達したところで頭打ちの様相を呈している。 他貴金属とは異なり急落前の水準まで値を戻せないところに上値の重さや価格を押し 上げるだけの手掛かりの乏しさを感じさせる。 目先の売り一巡感が強いと見られるだけに1050ドルが目先の下値支持線となりそ うだが、1100ドルを超える足取りも想定し難い。1050〜1100ドルの限られ たレンジ内での高下となるか。 MINKABU PRESS
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