プラチナ週間展望=もみ合い、中国の株安対策も米利下げ観測後退で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月29日からの1週間の展望]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 12 月限  1 月 22 日〜 1 月 26 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,664     9,701 (22)    9,522 (25)      9,611          -55
  銀           111.0     111.0 (22)    106.3 (23)      106.5         -3.3
 プラチナ       4,348     4,367 (22)    4,253 (26)      4,282          -64
 パラジウム     4,500     4,500 (26)    4,500 (26)      4,500            0
======================================
  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        26  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,017.3     -12.0   | ドル・円    147.75      0.95 円高
  銀       ( 3) 2,287.2     +16.1   | 日経平均  35,751.07       -212.20
 プラチナ   ( 4)   921.3     +14.3   | NY原油 ( 3)  78.01         +4.76
 パラジウム ( 3)   961.40    +12.70  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 26日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【前週のレビュー】
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退や中国経済の先行き懸念が
圧迫要因、とした。
 プラチナは中国の株安対策などが下支えになったが、米連邦準備理事会(FRB)の
利下げ観測後退やドル高に上値を抑えられた。現物相場は914.34ドルで戻りを売
られた。プラチナ先限は9日以来の高値4367円を付けたのち、上げ一服となった。
一方、パラジウムの現物相場は16日以来の高値974.13ドルを付けたのち、上げ
一服となった。
 1月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.3と前月の50.9から
上昇し、昨年6月以来の高水準となった。サービス業と製造業の両指数が上昇した。第
4四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比3.3%増と前四半期の4.9%増
から伸びが鈍化したが、事前予想の2.0%増を上回った。昨年12月の米新築一戸建
て住宅販売戸数は前月比8.0%増の66万4000戸と事前予想の64万5000戸
を上回った。米連邦準備理事会(FRB)の3月利下げ確率は40.4%まで低下した
のち、米GDPの伸び鈍化を受けて48.1%に戻した。年末まで150ベーシスポイ
ント(bp)利下げを織り込んでおり、米金融当局者の年3回の利下げ予想とかい離し
ている。31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれてお
り、パウエル米FRB議長の会見を確認したい。
 1月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.9とな
り、前月の47.6から上昇した。事前予想は48.0。節目となる50を8カ月連続
で下回った。1月の独IFO業況指数は85.2で前月の86.3から予想外に低下し
た。低下は2カ月連続。事前予想は86.7。欧州中央銀行(ECB)理事会で、政策
金利を過去最高の4%で据え置くことを決定した。据え置きは3会合連続で予想通り。
インフレ対策へのコミットメントを改めて確認し、金融緩和を検討し始めていることは
示唆しなかった。ただラガルドECB総裁は利下げ開始時期について夏の可能性が高い
としたダボスでの発言に言及した。
【南アのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで12.16トン、
25日のニューヨークで31.44トン(前週末31.44トン)と変わらず、24日
の南アで11.80トン(同11.89トン)に減少した。またパラジウムETFの現
物保有高はロンドンで3.63トン、ニューヨークで6.72トン(同6.43トン)
に増加、南アで0.36トン(同0.36トン)と変わらずとなった。南アのプラチナ
ETF残高が減少する一方、ニューヨークのパラジウムETF残高が増加した。プラチ
ナは景気減速懸念などを受けて売られ、パラジウムは1000ドル割れで安値拾いの買
いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月
16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万2557枚(前週
2万3541枚)に縮小、パラジウムの売り越しは1万1449枚(同9472枚)に
拡大した。
【中国の株安対策も中国恒大集団の行方を確認】
 中国株が急落するなか、中国人民銀行は預金準備率を0.5%ポイント引き下げると
発表した。2月5日から適用する。証券監督管理委員会(証監会)の王建軍副主席は、
「投資家中心の資本市場」を構築するため一層努力すると述べた。投資家が十分に保護
されてこそ、繁栄する市場の強固な基盤ができると付け加えた。また国有資産監督管理
委員会は国有企業首脳の仕事ぶり評価に市場価値管理を盛り込むと表明した。ただ中国
恒大集団のオフショア債保有者のグループは、29日に香港の裁判所で開かれる審理
で、同社の清算を支持する方針であると関係者2人が明らかにした。一連の株安対策を
受けて株安は一服したが、3000億ドルの負債を抱える中国恒大集団に清算命令が下
されれば投資家心理がさらに悪化する可能性がある。プラチナの900ドル割れは割安
水準だが、上海プラチナの出来高は伸び悩み、中国勢は安値拾いの買いを見送ってい
る。
当面の予定(イベント・経済統計)
29日 NZ貿易収支 2023年12月(NZ統計局)
30日 労働力調査(失業率) 2023年12月(総務省)
    ユーロ圏域内総生産 2023年10-12月期速報(EUROSTAT)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2023年11月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2024年1月(カンファレンスボード)
    米連邦公開市場委員会(FRB、31日まで)
31日 鉱工業生産指数 2023年12月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2023年12月速報(経済産業省)
    中国製造業購買担当者景況指数 2024年1月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2024年1月(中国物流購買連合会)
    独雇用統計 2024年1月(連邦雇用庁)
    独消費者物価指数 2024年1月速報(連邦統計庁)
    全米雇用報告 2024年1月(ADP)
    米雇用コスト指数 2023年10-12月期(労働省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2024年1月(シカゴ購買部協会)
    米FOMC声明文公表(FRB)
 1日 中国製造業購買担当者景況指数 2024年1月(財新)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年1月確報(Markit)
    ユーロ圏消費者物価指数 2024年1月速報(EUROSTAT)
    ユーロ圏雇用統計 2023年12月(EUROSTAT)
    英政策金利公表(BOE)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2024年1月(ISM)
 2日 米雇用統計 2024年1月(労働省)
    米製造業新規受注 2023年12月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2024年1月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。