コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【金は最高値更新で上げ一巡感が強まるも金融緩和路線と需要が下支え】
 NY金6月限は3月21日に2246.6ドルに達し、一代高値を更新。上値警戒か
ら修正安に転じたが、下値は堅く、2180ドル前後で下げ渋り、2200ドル台を終
値で回復している。
 NY金の急伸は、19〜20日にかけて開催された米公開市場委員会(FOMC)で
はフェデラルファンドレートが前月と同率に据え置かれたものの、米経済の成長を示す
経済指標の発表を受けながらもインフレ率は短期間での高下を繰り返しながら低下傾向
を保つ、との見方が示されたことや、2024年の金利見通しが4.6%に据え置かれ
たことが背景となった。
 米雇用情勢や個人消費の底堅さを示す経済指標の発表が続いていただけに、年内3回
の利下げ見通しが示されたことは金に対する買い安心感を大きく強める要因となってお
り、2200ドル前後という過去最高値近辺での値位置維持を可能にしている。
 ここから再び過去最高値に達する可能性については見通しには不透明感が強い。ファ
ンド筋を含む大口投機家の買いが一巡した可能性が高まっているからだ。米国商品先物
取引委員会(CFTC)の発表では、3月19日時点のファンド筋を含む大口投機家の
買い越し数は20万1602枚と20万枚台を回復し、利下げ着手期待を先取りする形
で買い進まれた昨年12月時点と同程度に達した。
 同時に取組高も53万5047枚に達しているが、増加幅は前週の4万4441枚か
ら1万8990枚に縮小しており、伸びが鈍化している。そのため、ファンド筋を含む
大口投機家の買いもそろそろ一巡すると見られ、これがNY金が伸び悩む可能性が高ま
っていることを示唆していると見られる。
 とはいえ、大きな値崩れも想定し難い。というのも、前述のように米国の金融政策は
金市場にとって強気な環境へと変化しているうえ、安全資産として金を求める動きが見
込まれるからだ。
 SPDRの金ETF残高は3月12日時点の815.13トンから3月27日時点で
は830.15トンへと増加しながらも伸び悩んでいる様子を窺わせているが、これは
金の高騰が背景になっていると見られる。ただ、その一方では米ドル高傾向が強まるな
か、米ドルで外貨準備を保有している国々の公的機関がその価値を維持するための安全
資産として金を求める動きが膨らんでいる。
 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、2023年の中央銀行による
金の年間買い越し量は1037トンに達していた。この中央銀行の金需要の底堅さは金
価格高騰もあって低迷している金ETF残高を相殺するに至っているが、その中でも強
い需要を見せているのが中国人民銀行だ。

 同行の7日の発表によると2月の人民銀行による金総保有量は前月からおよそ12ト
ン増加し約2257トンに達している。また、同行の金保有高が増加するのは16カ月
連続のことになる。不動産危機などによる経済見通し不安や中国元の下落により中国で
は金融不安が高まっているが、このような中で安全資産としての金需要が増加してい
る。

 2月の香港からの中国の金純輸入量は1月時点の76.248トンから39.826
トンに大きく減少したことが伝えられているが、これまでの旺盛な需要の反動や春節の
影響、そして香港以外の地域を経由して金輸入が行われた可能性もあり、今後も旺盛な
需要が続くかどうか、動向を確認したいところ。
 米経済の底堅さを示す経済指標やエネルギー価格の上昇が米インフレに与える影響が
警戒されるほか、これまでの上昇でファンド筋を含む大口投機家の買いが一巡した可能
性が高まっていることで、ここから先の上げ余地は限られる可能性が高まっているとは
いえ、金融緩和の方向性が示されたうえ、安全資産としての根強い需要が中国から見ら
れていることは、今後の金価格を支える要因となりそう。
 利下げ着手と2024年内で3回というFRBの利下げ見通しに変化がない限りNY
金の底意は強く6月限は2200ドル台を維持したうえでの高下が続九と予想される。
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