【前週のレビュー】ニューヨーク原油は戻り高値を更新した後に修正安。主戦場だった 4月限が買い上げられたあと、20日の納会を前に利食い売りで軟化した形だが、5月 限がどのタイミングで再び買い直されるのかが目先の焦点となろうとした。 【NY原油はイースター明けに上昇なら2倍戻しの86.08ドルが上値目標】 ニューヨーク原油5月限は押し目底がなくもみ合いとなっていたが、1月29日の高 値78.80ドルから2月5日の安値71.52ドルまでの下げ幅の1.236倍戻し である81.58ドル辺りをもみ合いレンジの下限に、28日の大陽線で83.21ド ルの高値を付けて1.618倍戻しの83.30ドルに再び迫った。これまでの戻り高 値だった19日の83.12ドルを小幅に上抜けている。 チャート的にはイースター明けの4月1日にこの83.30ドルを上抜けると、次の 上値目標は2倍戻しとなる86.08ドルとなるが、その前に昨年の高値である 84.87ドルや85ドルの節目が意識されることになろう。 材料的には、引き続き中東情勢やロシア・ウクライナの軍事衝突が地政学的リスク面 からメインテーマとなっている。また後述するように、ウクライナによるロシアの製油 所攻撃によるロシアの製油所の製油能力の低下も無視できない状況となっている。また これに関連して、今のところ報道はないが、ロシアの黒海沿岸の主要な石油積み出し港 であるノヴォロシースクが攻撃された場合、原油の供給が停止する可能性もあり、市場 に対するインパクトがケタ違いになるリスクを孕んでいる。ロシアの侵攻以降、これは ウクライナ側で計画されていたという報道もあるので要注意だ。 一方、イスラエルのガザ攻撃に関しては、オランダにある国際司法裁判所(ICJ) がガザで飢饉が起きているとして、28日にイスラエルに対し早急にあらゆる措置を取 るように命じた。しかし現在のところイスラエルにそれを実施するような様子は見えな い。ICJは1月にもイスラエルにジェノサイド(大量虐殺)を防ぐように命じている が、イスラエルは大量虐殺を繰り返している。 産油国側のイベントとしては、4月3日に合同閣僚監視委員会(JMMC)会合が予 定されているが、現状の減産実施状況を確認するだけに終わりそうだ。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は3万9000ドル台後半の過去最高 値圏でのもみ合いが続いており、いつ4万ドル台に乗せるのかが焦点となりそうだ。 ドルインデックスは再び104ポイント台に乗せて戻り高値を更新するドル高となっ ている。 【ウクライナのドローン攻撃でロシアの製油の能力14%が稼働停止】 ロイター通信によると、ウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて、ロシアの製 油所の稼働停止が全体の生産能力の14%に当たる日量90万バレルに達している。 攻撃を受けたのは、ルクオイルのノルシ製油所やボルゴグラード製油所、ロスネフチ のクイビシェフ製油所、トゥアプセ製油所、リャザン製油所など。ノルシやリャザンは 4月末、トゥアプセは5月末に再稼働する見通しとされている。 これとは別に調査会社、ウッド・マッケンジーよると、ガソリンのマージン低下や炭 素排出削減への圧力による中国や欧州を中心に世界の製油能力の20%以上が稼働停止 の危機にあるという。 【米国、SPR用に280万バレル買い付け】 米国に目を移すと、米エネルギー省が27日、米戦略石油備蓄(SPR)用に280 万バレルの原油を買い付けたことを明らかにした。平均購入価格は82.13ドルと、 目標とした79ドルを上回っている。受渡しは9月に行われている予定。 SPRは2022年に1億8000万バレル放出されて40年振りの低水準になって 以降、市場から買い上げられたのはここまで3230万バレルにとどまっている。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限は上昇中のボリンジャーバンドの1シグマ(7万 6370円辺り)を支持線に再び上昇して、7万7860円の一代新高値を付けた。 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油5月限は28日の大陽線で83.21ドルまで上昇して、19日の 83.12ドルを小幅に上抜けた。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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