【前週のレビュー】ニューヨーク原油6月限はこの戻りが86.97ドルを上抜けてさ らに上昇するのか、そこまで届かずに反落するのか、つまりエリオット波動的には、次 の高値が最終の上昇波動である「5」の高値となるのか、天井を付けたあとの修正高で ある「B」の高値に留まるのかが注目されるとした。 【NY原油は一転して底値を探る局面】 ニューヨーク原油6月限は予想とは逆にもみ合いから底割れする展開となった。直近 の安値は1日の78.83ドルだが、昨年12月13日の安値69.06ドルから4月 12日の高値86.97ドルまでの上げ幅の38.2%押し(80.13ドル)を大き く割り込んでいることで、次の下値メドは半値押しの78.02ドル、61.8%押し の75.90ドルとなる。1日の大陰線で目先のセリング・クライマックス(陰の極) も近そうだが、日柄的には8日が新月のため、その辺りで底入れすると見ておきたい。 材料的には、ガザを巡ってイスラエルとハマスが停戦協議を行っていることで、停戦 合意に対する期待感に圧迫されている。1日は米エネルギー情報局(EIA)の週報で 原油在庫が急増していたことも重なり急落商状となった。チャートの悪化から考えて現 状で停戦合意が発表されるとさらに一段安となるのはほぼ必至の状況と言える。 ただイスラエルのネタニヤフ首相は4月30日、ハマスとの停戦協議の結果にかかわ らず、ガザ南部ラファに地上侵攻すると述べて強硬姿勢を崩していない。なお現在イス ラエルを訪問中のブリンケン米国務長官は1日、イスラエルのヘルツォグ大統領との会 談で「人質奪還のためる停戦を今すぐ実現する」と表明しており、その手腕が期待され る状況となっている。 一方、エジプトのカイロでエジプト、カタール、米国、ハマスの担当者が会合を行っ たが、ハマスはガザ停戦と引き換えにイスラエルの人質33人の解放するというエジプ ト提案を検討中と報道されている。したがって、日本のゴールデンウィーク中ないしは 直後にも「停戦合意」が報じられる可能性もあるので注意したい。 外部要因を見ると、1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に対する米株の反応は まちまちの動きとなった。ニューヨークダウ平均株価は依然として高値もみ合いの範疇 と言えるが、直近は再び3万8000ドル台を再び割り込んでおり、さらに底割れする 可能性も出てきている。 ドルインデックスに関しては、ドル円は日本政府が複数回の介入した可能性が指摘さ れて激しい乱高下となっているが、ドルインデックスも105〜106ポイント台で高 値圏で荒い値動きが続いている。 【米国、原油在庫が増加して今年最高水準】 米国に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報では、原油在庫が前 週比726万5000バレル増の4億6089万バレルと増加した。石油製品在庫はガ ソリンが同34万4000バレル増の2億2709万バレル、留出油在庫が同73万2 000バレル減の1億1585万バレルとまちまちだった。これから季節的には需要期 に向かうガソリンの需要が低調さが原油在庫の増加につながっており、原油在庫は週報 ベースで今年最高水準にある。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である10月限は3営業日連続の陰線引けで、ボリンジャーバンド の2シグマ(8万0980円辺り)から−2シグマ(7万6990円辺り)割れまで急 落した。 ガソリン先限は名目値で8万3000円の横ばいが続いている。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油6月限は3営業日連続の陰線引け。1日の大陰線で下降中のボリン ジャーバンドの−2シグマ(80.25ドル辺り)や80ドルの節目を大きく割り込ん だ。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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